2023.08.07
- 観光
明石海峡大橋を眺めながら、舞子~垂水の海沿いをお散歩

旅先の朝、散歩したいときはありませんか?
気分転換にもなるし、心地よい1日のスタートを切れそうな気がするウォーキングを気持ちよくできそうな海岸沿いのコースを神戸の舞子から垂水で見つけました。
1回目の神戸観光はアクセスが便利な街中での滞在もいいけれど、2回目以降は海が見える静かな場所に滞在して、散策を楽しみながら気持ちいい朝を迎えませんか?
京都市生まれ、福井市出身のライター。福井の新聞記者、遺跡発掘調査などの埋蔵文化財の仕事を経てフリーに。福井県小浜市から京都・出町柳までの鯖街道76kmを2回踏破するほど歩くことと登山が大好き。企業・経営者の取材やインタビュー、グルメの記事などを手掛ける。関西好きが高じて、福井と京都の二拠点生活をしている。
港町・神戸の夜明けを感じさせる「明石藩舞子砲台跡」と舞子公園

舞子は、三宮や元町、神戸駅より西南にあり、瀬戸内海(大阪湾)に面し、明石市と接する場所にあります。明石海峡大橋が立つ、四国との玄関口ともなる場所です。
今回はJR舞子駅~山陽電車山陽垂水駅までの約2㎞のコースをご紹介します。

JR舞子駅からJR垂水駅・山陽電鉄山陽垂水駅までのウォーキングコース(Googleマップ)
海沿いを走るランニングコースにもぴったり。実際にこの辺りでは、海沿いを歩いたり、走ったりしている人の姿をよく見かけます。
まずは、港町神戸の幕開けを感じる場所から。JR舞子駅を出るとすぐに舞子公園です。

こちらから続く歩道橋を海に向かって進み、右側にあるのが「明石藩舞子台場跡(舞子砲台跡)です。

跡地として残されているのは海に臨む一角だけなのですが、再現された模造の砲台と石垣が住宅地の前に際立っています。


明石藩舞子台場跡は、幕末の1863(文久3)年、幕府の命令を受けた勝海舟(鱗太郎)の指導のもと、大阪湾防備のため明石藩が築造しました。
「対岸の淡路島にある徳島藩松帆台場と協力して、明石海峡を通過する外国船を挟み撃ちにする計画だった」と現地の解説資料などにはあります。
「台場の縄張り・構造については勝海舟の現地指導を受けた」ものの「砲台に伴う他の付帯施設は構築されず、実際には大砲も据え付けられずに、明治維新を迎えた」(文化遺産オンライン解説より)ようです。
発掘調査によって判明した石敷きから当時の砲台が再現されました。西洋の要塞を参考にして設計され、すべて石で積まれたものは国内ではほかに例はなく、大変貴重だということです。
舞子台場推定復元図(神戸市文化スポーツ局文化財課発行「たるみの遺跡」より引用)
つまり、結局この砲台は実際に使われることはなく、新しい時代を迎えるとそのまま役目を果たすことはありませんでした。しかし、当時の緊迫した状況や日本が西洋化を進めていく様子を伝える貴重な資料となっています。
文化遺産オンライン
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/212150
台場築造の後、神戸は開港し、国内屈指の貿易港として栄えていくこととなりますが、この「明石藩舞子台場跡」は神戸が大きく発展していく前の夜明けを感じさせる近世の遺跡です。
住所 | 神戸市垂水区東舞子町4 |
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アクセス | JR舞子駅から徒歩5分 |
次は、歩道橋に戻って明石海峡大橋に接続する「舞子海上プロムナード」へ。

館内のエレベーターを上がって進むと、ドンドンと音がしています。それもそのはず。その上を車が走っているからです。

車道の橋の下が歩道になっている観光地なんて、なかなか見たことがありません。歩道の一部の床がガラスとなっており、瀬戸内海の青い海が見えます。

橋の下から本館の館内に戻ると、海や街の景色を一望できる展望スペースが随所にあります。

こちらの場所では、地元の方の絵画の展覧会なども開催されており、地元の人たちの憩いの場としても活用されています。
住所 | 神戸市垂水区東舞子町2051 |
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アクセス | JR舞子駅から徒歩5分 |
電話番号 | 078-785-5090 |
営業時間 | 9:00~18:00(最終入館は閉館30分前まで)ゴールデンウィーク・夏休み期間中は、9:00~19:00(最終入館は閉館30分前まで) |
定休日 | 4~9月無休、10~3月毎月第2月曜日(祝日の場合は翌日)、12月29日~31日 |
公式サイト | https://hyogo-maikopark.jp/facility/f01/#ad-image-0 |
海と明石海峡大橋と洋館を見ながらほっと一息「MutoCafe」

少しコーヒーでも飲んで休憩したいというときには、舞子海上プロムナードから歩いて5分ほどのところにカフェがあります。旧武藤山治邸のなかにある「Muto Cafe」です。

洋館の異国情緒漂う家具や調度品に囲まれて、明石海峡大橋と瀬戸内海を見ながら飲むコーヒーは普段の何倍もおいしく感じます。

珈琲300円。館内ではほかに紅茶、ココア、オレンジジュースなどの飲み物を提供しています。
日本のジャズ発祥の地の神戸らしく、館内では毎月2〜3回、土曜日にジャズライブが開かれています。

Muto Cafe提供写真
すでに150回を超えるライブは、毎回ほぼ満席。その人気ぶりは「地元神戸、大阪や京都の関西圏からはもちろん、ニューヨーク、ブラジルなど海外からも駆けつけるほど」(旧武藤山治邸の米津寛司館長)とか。

洋館の雰囲気がライブを情緒たっぷりに盛り上げてくれます。Muto Cafe提供写真
館内の見学はもちろん、カフェやジャズライブと旧武藤山治邸の魅力を存分に味わってみてはいかがでしょうか。

旧武藤山治邸2階の部屋
住所 | 神戸市垂水区東舞子町2051 |
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アクセス | JR舞子駅から徒歩5分 |
電話番号 | 078-785-8610 |
営業時間 | 10:00~16:00 |
定休日 | 月曜日 |
公式サイト | https://hyogo-maikopark.jp/facility/f03/#ad-image-0 |
まさに癒しそのもの!波の音ときらきらした水面の舞子海岸

舞子公園付近は緑地となっていて、海の風を感じながら読書をしている人やウォーキングを楽しんでいる人たちの姿が多く見られます。すれ違う人たちはみな、ゆったり穏やかな雰囲気でまさに平和そのものです。
舞子公園を抜けてしばらく歩くと、海水浴場「舞子アジュール」があります。白い砂浜ときらきら光る水面、そしてざぶんざぶんと波打つ音は心地よく、歩いているだけで癒されます。

夏季は海水浴場となる「舞子アジュール」
ここでもランニングやウォーキング、軽い体操をしている人などがいて、それぞれ思い思いに楽しんでいる姿と開放的な海が心地いい気持ちにさせてくれます。
アジュール舞子を抜けると、露天風呂や岩盤浴を楽しめるスーパー銭湯「SPA専 太平のゆ」が左側に見えてきます。軽く汗をかいて、こちらのお風呂に浸かった後は明石海峡大橋を眺めながらゆったりくつろぐことができます。

住所 | 神戸市垂水区海岸通り2166−2 |
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アクセス | JR垂水駅・山陽電車山陽垂水駅から徒歩約12分 |
電話番号 | 078-708-1126 |
営業時間 | 10:00〜24:00(土日祝8:00~24:00、最終受付23:00) |
定休日 | 年中無休(メンテナンスのため休館する場合があります) |
公式サイト | https://www.sentou.co.jp/ |
漁港すぐそば!新鮮な魚を味わえる「垂水漁港食堂」とおみやげが買える直売所

さらに東へ進むと、漁港が見えてきました。漁船が多く泊まっています。
ここまで歩くとさすがにお腹がぺこぺこで、そんなときにうれしい新鮮な魚料理が食べられるお店があります。
こちらの垂水漁港に面した神戸市立水産会館の2階にある「垂水漁港食堂」では、垂水漁港をはじめ近隣でとれた魚を扱っています。

一番人気は「垂水漁港定食」。

「垂水漁港定食」1,380円
味噌汁、おつくり3種盛り、神戸サーモンのフライ、ミニしらす丼が入ったボリュームたっぷりの定食です。
(※3~4月前半までのしらすの入荷が厳しいときには、しらす丼は白ご飯となります。その場合は、1,230円で提供)
「まさか味噌汁からこんなに海の味わいを感じられるとは…」と思うほど、お魚の出汁がしっかり効いていています。
刺身は身がしまってプリプリの食感、だし醤油とワサビを絡めて食べると箸が止まりません。神戸サーモンのフライも負けず劣らずのうまみたっぷりの味わい。どれがメインなのかわからないくらいお魚を存分に味わえます。

釜揚げシラス丼は、しらすと青じそ、白ごまのバランスが絶妙で、ご飯が進みます。
おいしさの理由は、その日に仕入れた魚をその日のうちにさばいて食べるので、身のしまった新鮮な刺身をはじめ、うまみたっぷりの魚料理が食べられるのです。

鮮魚をさばく店長の大段邦明さん
駐車場も広くて入りやすく、ツーリングの利用にも最適。「新鮮なお魚を食べたい!」という方にぜひおすすめしたい垂水漁港食堂です。
住所 | 神戸市垂水区平磯3丁目7−125−26(神戸市立水産会館2階) |
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アクセス | JR垂水駅・山陽垂水駅から徒歩約5分 |
電話番号 | 078-707-4626 |
定休日 | 火曜日 |
公式サイト | https://kobeshi-gyokyo.or.jp/hanbai/uzushio |
垂水漁港食堂より北の道路側に神戸市漁業協同組合の直売所があります。

直売所では、こちらの漁港で水揚げされた魚の加工品を販売しています。この日は、特産の須磨海苔やちりめんなどが並んでいました。

店頭に並ぶ須磨海苔。取材した日は地元の人たちがこの棚の海苔がほとんどなくなるほど、須磨海苔をどっさり買っていました。
兵庫県は海苔の生産量が全国トップクラスとなっており、県内では養殖がとても盛んです。地元の名産、須磨海苔は、焼き海苔や味付け海苔、収穫の最初期に採れる「初摘み」などさまざまな種類が並んでいます。
私も須磨海苔を買ってみました。特に初摘みがおすすめだそうで、ほかのものとは味わいが違うとのこと。

磯の風味とほんのり甘みが感じられる須磨海苔
「舌の横で甘みを感じられるんですよ」と店員さんが教えてくれました。
袋の封を開けると、磯の香がほんのり漂います。ふんわりやわらかいのにしっかりパリッとした香ばしさもあって、口に入れると優しい甘みが感じられる味わいでした。
直売所では、須磨海苔のほかにも、マダイやサワラの味噌漬け、神戸サーモンなどが人気です。
4月から12月までは特に魚が多く採れる時期。直売所近くの神戸市立水産会館1階では、地元で水揚げされた地魚を販売する「土曜市」(毎週土曜)や「漁業デー」(第1・第3水曜日)が開催され、新鮮な魚を求めて多くの人でにぎわいます。
ぜひ、鮮度抜群の海の幸をおみやげにいかがでしょうか?
住所 | 神戸市垂水区平磯3丁目1番10号(垂水漁港内) |
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アクセス | JR垂水駅・山陽電車垂水駅から南へ徒歩10分 |
電話番号 | 078-708-1616 |
定休日 | 盆休み(8/14~16日)年末年始(12/30~1/4) |
営業時間 | 9:00~16:30 |
公式サイト | https://kobeshi-gyokyo.or.jp/hanbai/chokubaijyo |
漁協の駐車場からは北の駅側のほうを見ると、「海神社」と書かれた真っ赤な鳥居があります。


実はこちら、「わたつみじんじゃ」というそうです。真っ赤な鳥居の反対側には漢字で「綿津見」とも書かれています。

さらにこの先へ進むと、神社の境内が出てきます。

古くから水上交通の要として漁業、水運が発展してきたこの地で、航海と漁業繁栄を祈願しています。このさらに先の北に進むと垂水駅が見えてきます。
住所 | 神戸市垂水区宮本町5−1 |
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アクセス | JR垂水駅・山陽電車垂水駅から南へ徒歩3分 |
電話番号 | 078-707-0188 |
公式サイト | http://kaijinjya.main.jp/ |
海岸沿いの散歩やランニング、夜景などを楽しめる舞子滞在の際には、「シーサイドホテル舞子ビラ神戸」、「ホテルセトレ神戸・舞子」の2つのホテルが便利です。
瀬戸内海の穏やかな海に臨むこの地域は、市街地の喧騒を離れてゆったりした雰囲気があります。
平安時代には平清盛がこの場所が美しいからと都をこちらに移そうとしたとも言われており、有栖川宮熾仁親王もまたこの地にひかれ、静養先として別邸を建てました。
その場所が現在のシーサイドホテル舞子ビラ神戸となっています。
参考:https://www.maikovilla.co.jp/about/history.php
シーサイドホテル舞子ビラ神戸の客室から見える朝日
まさに、明石海峡大橋と瀬戸内海がおりなす海の景色は癒され、心を落ち着かせてくれます。そんな舞子にぜひ滞在してみてはいかがでしょうか。