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2022.08.30

神戸市北区・淡河町で 文化財をめぐる歴史散歩

神戸市北区・淡河町で 文化財をめぐる歴史散歩

海のイメージが強い神戸ですが、六甲山を越えた先にある北区の、豊かな自然と深い歴史文化も、ぜひ見て頂きたい神戸の魅力の一つです。

今回は、北区・淡河(おうご)町に受け継がれる、有形・無形文化財、重要文化財の数々をご紹介します。

境内の広さに当時の規模を偲ぶ「石峯寺」

651年、孝徳天皇の勅願により法道が開山したとされている石峯寺(しゃくぶじ)。延命地蔵と称する地蔵菩薩が本尊とされています。その後、行基が薬師堂を建立、923年に嵯峨天皇の勅願により三重塔を建立したと伝えられています。

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薬師堂と三重塔は、ともに大正4年に国指定の重要文化財に指定されています。現在は竹林院と十輪院の塔頭が残るだけですが、かつては多くの塔頭を有していたそうです。

本殿

広々とした境内の中央に佇む本殿

石峯寺の仁王門もまた重要文化財。苔むした参道を登って行くと両脇に金剛力士像をが出迎えてくれます。

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石峯寺の入り口・仁王門

身につけている衣の色も鮮やかに残り、力がみなぎり眼玉で睨みをきかせた2体の像もまた見ごたえがあります。

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仁王門

仁王門をくぐり農道を進むと、石峯寺の入り口に到着。立派な本堂とその東側に三重塔、そして本堂の西側からは四国八十八ヶ所巡りも。静かな境内の中をお参りすると心洗われます。

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三重塔

1974年には「石峯寺およびその周辺」として十輪院、竹林院とともに文化環境保存区域に指定。

春には紫陽花、秋には紅葉のスポットとしても有名で1997年には「新・こうべ花の名所50選」の一つに選定されています。

INFORMATION

石峯山
住所:神戸市北区淡河町神影110-1
TEL:078-958-0822
境内散策自由

無形民俗文化財の「御弓神事」も見どころ「淡河八幡神社」

淡河川に架かる万代橋のたもと、のどかな田園風景の中にあるのが淡河八幡神社があります。

伝承では、宝亀10年(779)6月表筒男命を祀り、仁平年間(1151~54)に安閑天皇、貞応2年(1223)に鶴岡八幡宮から応神天皇の分霊をうけて奉祀。以後八幡宮と称し、旧淡河庄16村の鎮守社で明治7年郷社となりました。

本殿は平成11年に神戸市指定有形文化財に指定。地元の人はもちろん、初詣、七五三など行事に合わせて参拝客も多く訪れています。

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淡河八幡神社では、毎年2月に、兵庫県指定重要無形民俗文化財である「御弓神事」が開催されます。

1677年の文書に記載されている伝統儀式「三十六人大的射」にもとづき、地元の中学生、大学生、淡河弓道会をはじめ神戸市弓道会、隣町の三木弓道会の有段者が矢を放ちます。

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御弓神事の三十六人大的射。

日が暮れる頃、800年前の鎌倉時代の作法に倣って、拝殿でのお祓いの後、松明と月明かりの中での鬼祓い神事が厳かに執り行われます。

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御弓神事の拝殿でのお祓い。

鬼祓い神事とは、まず、直径2メートルの大きな的の中心に「鬼」という文字を書いたあと、墨で黒く塗りつぶして封じます。その的に向かって選ばれた射手が中世武士の衣装で矢を放ちます。

鎌倉時代は、闇夜の中で行われた神事なので、足元に障害物がないかどうか、弓の上弭で確かめたり、弓矢に損傷がないかを確かめる所作なども行います。

また天遠く地深く、邪気を封じ込める天地払いの所作も。厳かな儀式に感動。

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松明を焚いて、鎌倉時代同様に執り行われた御弓神事。

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大的の中心に「鬼」の文字。これを墨で塗りつぶし、封じ込めます。

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2020年の御弓神事。松明と月の明かりの中で行われました。

INFORMATION

淡河八幡神社
住所:神戸市北区淡河町35
TEL:078-959-0436

日本で現存する農村歌舞伎舞台の中で最古「北僧尾農村歌舞伎舞台」

江戸時代から農民たちの娯楽として行われている農村歌舞伎や人形浄瑠璃を催すための農村歌舞伎舞台。あまり知られてはいないのですが、神戸市北区にはそんな歌舞伎舞台が残っています。

淡河町北僧尾にある「北僧尾農村歌舞伎舞台(きたそうおのうそんかぶきぶたい)」は、建物に安永6年(1777)の墨書きがあるそうで国内で現存する農村舞台の中で最も古いとされるもの。1970年には、兵庫県の有形民俗文化財にも指定されている貴重な建物です。

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ここで歌舞伎や踊りが繰り広げられていた北僧尾農村歌舞伎舞台

北僧尾の鎮守とされている厳島神社境内の社殿の向かいに建つ「北僧尾農村歌舞伎舞台」。神社には長床という神事に使われる建物があるのですが、北僧尾の舞台にはその長床と舞台を併用する様式に作られているのも特徴。

また、正面右端に「チョボ床」と言われる突出部があり、義太夫、三味線の座とされていたようです。正面下部の横板は「バッタリ」と呼ばれ、普段は雨戸として使われ、上演の時には前方に倒して舞台にとして使われていたそうです。

2014年に行われた平成の大改修の後には、美しく蘇った舞台で、地域の人々による舞や演奏、踊りなども披露されました。

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北僧尾農村歌舞伎舞台(きたそうおのうそんかぶきぶたい)

そのほか、神戸市北区には、「下谷上農村歌舞伎舞台」、「上谷上農村歌舞伎舞台」、「坂本農村歌舞伎舞台」など、15の農村舞台が残っています。

INFORMATION

北僧尾農村歌舞伎舞台
住所:神戸市北区淡河町北僧尾
拝観自由

静かな境内に佇む「南僧尾観音堂」

室町時代後期に建立されたと伝えられている「南僧尾観音堂」(みなみそおかんのんどう)は、村の観音堂。

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立派な茅葺きの南僧尾観音堂

840年に法堂仙人により創建された新善寺の元の本堂で、戦国時代に兵火で屋根を焼いたものの、建物本体は残り、のちに豊臣秀吉の命によって修復されたと伝えられています。

昭和48年に県の文化財に指定され、今も地元の人に守ら続けています。

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INFORMATION

南僧尾観音堂
住所:神戸市北区淡河町573
境内自由


みどころいっぱいの神戸市北区淡河。カフェやショップなどとも合わせて、1日ゆったりと歴史散歩はいかがですか?


いなだみほ(ライター・コーディネーター)
赤穂生まれ、赤穂郡上郡育ち、神戸暮らし。人に出会うことが好きです。誰かの大切な思いを文章にして、たくさんの方に伝えるお手伝いをしたいと思っています。お菓子、パンなどを中に雑誌、ガイドブック、ウェブなどで取材執筆。イベントの企画。ショップセレクトなどにも携わっています。著書「東京最高のパティスリー」(ぴあ)、MOOK「神戸のおいしいパン屋さん」、「神戸紅茶さんぽ」、「神戸土産の新定番」(共にグラフィス社)企画編集執筆。のほか、2021年秋にMOOK「神戸のパン屋さん、やっぱりすごい」を編集執筆
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