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2023.07.24

元町・旧居留地のレトロな近代建築めぐり

元町・旧居留地のレトロな近代建築めぐり

元町駅を南の方へ5分ほど歩くと見えてくる近代建築の数々。

明治時代に開港したころから外国人が住んでいたエリア「旧居留地」には、当時の建物が今も多く残されています。

異国情緒あふれるこの界隈は、海外と日本、レトロとモダンが共存し、目を楽しませてくれます。観光の合間に、あるいは建築めぐりを一つの観光としても楽しめる、旧居留地周辺の美しい近代建築と、そのなかにあるカフェをご紹介します。

【取材・文】梅澤杏祐実
京都市生まれ、福井市出身のライター。福井の新聞記者、遺跡発掘調査などの埋蔵文化財の仕事を経てフリーに。福井県小浜市から京都・出町柳までの鯖街道76kmを2回踏破するほど歩くことと登山が大好き。企業・経営者の取材やインタビュー、グルメの記事などを手掛ける。関西好きが高じて、福井と京都の二拠点生活をしている。

JR元町駅と商店街の先、「大丸神戸店」が名建築群のはじまり

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関西では、大阪・京都と並んで近代の名建築が集まる神戸。特に居留地エリアは、京都の三条通、大阪の中之島などのように駅から歩いて行けるスポットとなっているため、アクセスがよく、じっくり散策を楽しめます。

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近代建築が残るスポット(緑のピンが近代建築。Googleマップより)

JR元町駅東口を出て、アーケードがある元町商店街を抜けたら、まず見えてくるのが大丸神戸店です。同店の前には、この辺りが居留地であったことを示す碑があります。

Information大丸神戸店
住所 神戸市中央区明石町40
アクセス 各線の元町駅から徒歩4分、地下鉄海岸線「旧居留地・大丸前駅」から徒歩1分
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外国人が住んでいたことを示す旧居留地の碑。神戸開港100周年を記念して設置されました。

このエリアは、旧居留地ということで数多くの近代建築が集中して点在しており、しかもそれらは現代のオフィスビル群とも驚くほどマッチしています。

今もこうしてホテルや店舗、オフィスなど現役で活躍しています。

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ホテルや店舗などとして活用されている旧居留地38番館。番号をマップでチェックしながらスタンプラリーのようにめぐっても楽しそうです!

居留地跡の碑が建つ場所から、神戸港を臨む「海岸通」までは、居留地の番号が付けられた近代建築が多く並ぶエリアで、目を楽しませてくれます。

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旧神戸居留地15番館。現在は飲食店「TOOTH TOOTH maison 15th」としてランチやディナー、アフタヌーンティーが楽しめます。撮影協力:㈱ノザワ

※「TOOTH TOOTH maison 15th」は、2024年6月2日(日)をもって閉店し、新業態のパティスリー&ティーブティック「Salon 15 TOOTH TOOTH 旧神戸居留地十五番館」として、2024年6月20日(木)にオープン予定です。

InformationTOOTH TOOTH maison 15th
住所 神戸市中央区浪花町15番地 旧神戸居留地十五番館
アクセス JR元町駅から徒歩10分
電話番号 078-332-1515
営業時間 毎月第3土曜日13:00〜15:00
ランチ 11:00~15:30(L.O13:30)
アフタヌーンティー 15:00~17:30※要予約
ディナー 17:30~22:00(L.O19:30)
定休日 不定休
公式サイト https://toothtooth.com/restaurant/maison-15th

居留地の中心部、神戸市立博物館でわかった名建築が並ぶ理由

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なぜこんなにたくさんの建物が、この徒歩数分圏内のエリアに集まっているのでしょうか?ここからは神戸市立博物館の展示をもとに解説していきます。

神戸市立博物館は、旧居留地内の目抜き通りとなっていた「京町筋」に立っています。

戦後まで、ここは銀行として使われていました。1935(昭和10)年に「横浜正金銀行神戸支店」として建てられ、戦後は「東京銀行神戸支店」として営業していました。その後増改築され、1982(昭和57)年に博物館として生まれ変わったのです。

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館内で展示されている明治時代の旧居留地付近の模型

居留地は、明治時代に日本と通商条約を結んでいた国の人が、居住や営業を許可されていた区域でした。

しかし改正条約の発効によって、外国人の居住と移動に制限がなくなったことから1899(明治32)年に「居留地」は廃止され、その後は商社や海運会社などさまざまな建物が建ち並ぶようになります。

国内屈指の貿易港を持つ港町として栄えた神戸では、大阪商船株式会社や日本郵船株式会社、第一国立銀行などが神戸に支店を構えます。

大正時代には、旧居留地を中心に現在の「みなと元町駅」を中心とした栄町通にいたるまで、重厚で壮麗なオフィス建築が軒を並べるようになりました。

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これらが現在の「近代建築」として残り、旧居留地の格式高い街並みをつくっています。

神戸市立博物館では、「学習支援交流員」による旧居留地をめぐるツアーを定期的に開催しています。開催日時などについては、博物館の公式HPやSNS(facebookInstagramTwitter)をチェックしてみてください。

Information神戸市立博物館
住所 神戸市中央区京町24
アクセス 各線元町駅より徒歩10分
電話番号 078-391-0035
開館時間 9:30~ 17:30(入館は17:00まで) ※特別展開催中の金・土曜日は19:30まで開館(入館は19時まで)
定休日 月曜日(月曜が祝日または休日の場合は開館し、翌平日に休館。最新情報は下記のサイトを確認)
公式サイト https://www.kobecitymuseum.jp/

館内には、往時をしのばせる異人館「トムセン邸」を復元した場所もあります。

博物館内に併設されたミュージアムカフェ「TOOTH TOOTH凸凹茶房」内にある一室です。

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カフェ内に入って、広めのカフェスペースの左奥に2組分(2テーブル)が入る個室があります。

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こちらのお部屋は予約制ではありませんが、アフタヌーンティーセットをオーダーすると、優先的に利用することができます。

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「凸凹茶房のアフタヌーンティーセット」¥4,290(税込)(2名より予約可)写真はTOOTH TOOTH凸凹茶房より提供

優雅なカフェタイムをゆったり楽しみながら、ぜひ家具や内装の美しい装飾にも注目してみてください。

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InformationTOOTH TOOTH凸凹茶房
住所 神戸市中央区京町24(神戸市立博物館内)
アクセス 各線元町駅より徒歩10分
電話番号 078-515-6462
営業時間 展示期間に合わせて営業時間は変更。※詳しくは神戸市立博物館のHPをご確認ください
定休日 月曜日(神戸市立博物館に準じる)
公式サイト https://toothtooth.com/restaurant/decoboco-sabo

名建築「神港ビルヂング」とそのなかにあるカフェ「Cafe rest8番館」

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旧居留地エリアにある近代建築はほとんどがオフィスビルとなっていますが、カフェが併設され、一般の人でも気軽にランチやカフェタイムを楽しめる場所があります。

「神港ビルヂング」の1階にあるカフェ、cafe rest8番館はその一つ。

11時からのランチタイムでは周辺のビジネスマンたちが、14時以降は博物館やルミナリエなどの観光で訪れた人たちでにぎわいます。

旧居留地の建物はどれもおしゃれでどこか敷居が高いイメージもありますが、こちらのお店は普段使いに通う人が多い気さくな雰囲気です。

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店内に入ると、それまでの近代建築の様相とは変わってモダンなレトロ感が漂います。

今年で20年目となる同店は、先代のオーナーが飲食大好きだったことから多角事業の一つとして、オープンしました。

「喫茶店、洋食屋さん、なんでも食べることが大好きなオーナーは、東京に行くたびにいろいろなものを見て回り、常に新しいものを取り入れようという想いを常に持っていました」とオーナーを知る、同店の運営母体となる株式会社サン商事の事業部部長の山本好美さんは話します。

「今でこそ”インスタ映え”とか言われますが、当時はもう非常に斬新なデザインだったそうです。橙と緑の壁紙に、石の壁なんて。このお店でほっと休んでいただこうと、暖色系にしたのです」と山本さん。

店内に一歩足を踏み入れると、なんだかほわんと心地よいものに包まれるような感じ。石壁もどこか温かみを感じます。

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植物が見える席、ソファ席、一人用の椅子席、さまざまな用途に応じて利用ができます。

中でもひときわ目立つのが、通称「VIPルーム」と呼ばれる空間。通常のカフェスペースの奥に4人程度座れるソファとテーブルがあります。ここはグループで来て、おしゃべりを楽しみたい場所です。

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「予約される方もいるほど、人気なんですよ」と山本さんが話したその直後、まさに来店した3人組の女性が「わぁ、ここいいなぁ」と話しながら入っていきました

予約しなくても、来店した時に空いていれば、いつでも入れるそうです。なんだか特別な気分になれそうですね。

カフェタイムに来たときのおすすめは、「海岸通8番プリン」。

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「海岸通8番プリン」380円は、コーヒーセットで580円。

まさに「喫茶店のプリン」。プリンの上に生クリームと真っ赤なサクランボが載っている、懐かしいタイプです。

食べてみると、少し固めのもっちりとした触感がクセになりそう。少し苦めのカラメルソースがプリンの甘さを引き立ててくれます。

ランチタイムは、1番人気の「日替わり8番館弁当」をはじめ、「居留地8番カレー」や「8番館定食」が人気です。

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一番人気の「日替わり8番館弁当」800円

ただこちらのお店、土日がお休みと観光には少しハードルが高いですが、出張の合間などにぜひご利用ください。(※ 2024年3月より土曜日営業を予定)

オフィスビルのため、カフェ以外の立ち入りはできませんが、出入りの際には建物内の装飾にも注目してみてください。

こちらのポスト。郵便物の受け口の装飾が非常に味わい深くなっています。

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そして、このドア、なんと回転式なのです。

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床のタイルの美しさにもぜひご注目ください。

Informationcafe rest8番館
住所 神戸市中央区海岸通8(神港ビルヂング内)
アクセス JR元町駅から徒歩10分
電話番号 078-331-7363
営業時間 9:00~17:00
定休日 土日祝(2024年3月より土曜日営業を予定)
公式サイト(SNS) https://www.instagram.com/8bankan/

※店内は全面禁煙となりました。

まさに名建築!格式高い近代建築が並ぶ海岸通

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神港ビルヂングを抜けて、海岸通に行くと、「シップ神戸海岸ビル」と「商船三井ビルディング(神戸商船三井ビル)」、そしてその先には「神戸メリケンビル」があり、さらに「海岸ビルヂング」と見ごたえのある建物が並んでいます。

神戸市立博物館から海岸通に向かって行くと、まず見えてくるのが「チャータードビル」。

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格子窓と重厚な外観。この日は結婚式の前撮りをしているカップルや美容室のカットモデルの撮影も多く見られました。

旧居留地の美しい街並みが地元の若い人たちにも愛されていることがうかがえます。

Informationチャータードビル
住所 神戸市中央区海岸通9−3
アクセス 各線元町駅より徒歩10分

さらに、西へ進むと「商船三井ビルディング」があります。華麗な正面が見ものです。

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Information商船三井ビルディング(神戸商船三井ビル)
住所 神戸市中央区海岸通9−3
アクセス 各線元町駅より徒歩10分

その向かいにはシップ神戸海岸ビルがあります。

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外観も素敵ですが、ドアの装飾なども見ごたえがあります。

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シップ神戸海岸ビル、商船三井ビルディングを並べて見てみても、その違いがまた面白いです。

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海岸ビルはシンプルな装飾、商船三井ビルディングは華麗な装飾となっています。

Informationシップ神戸海岸ビル
住所 神戸市中央区海岸通3
アクセス 各線元町駅より徒歩10分

海岸ビルのさらに向かいには、「神戸メリケンビル」が立っています。

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外観全体の華麗さもさることながら、入口の装飾にもぜひご注目ください。

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Information神戸メリケンビル
住所 神戸市中央区海岸通1丁目1−1 神戸メリケンビル
アクセス 各線元町駅より徒歩10分

元町駅を出て数分で始まる近代建築が集まるエリア、旧居留地。ぜひ、目に美しい外観や装飾を楽しみながら、近代建築めぐりを楽しんでみてください。

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