アメリカやヨーロッパに比べると、
インドや中東に旅行したことがある人は多くないのでは?
神戸には、インドから中東の国々出身の方も多く住んでいて、
日本では珍しい、イスラム教やジャイナ教の寺院も存在。
在住インド人が集うインド料理のお店や、
ムスリムの生活を支えるハラル料理店では、
現地さながらのグルメも味わえる。
インドや中東の世界に、神戸にいながら触れてみよう。
定番観光スポットである異人館街がある北野は、 神戸にやって来た外国人が住居をかまえたという歴史もあって、 現在も多くの外国人の方々が住んでいる。
中でも、インド人のコミュニティは大きく、インド料理店、 スパイスショップをはじめ、日本で唯一のジャイナ教寺院があったり、 街を歩けばサリーを来た女性とすれ違ったりと、“リトルインディア”のような一面も。
異人館巡りだけではない、「インド」な神戸を見つけてみて。
インドといったら思い浮かぶのは、やっぱりカレー。 インド人が多く暮らす神戸では、インド人シェフがいるのはもちろん、在住のインド人に愛される、本場さながらのインドカレーが味わえる。
北野にある「アールティ 北野本店」は、関東などにも支店を持つインド料理店。現地で修行を積んだベテランコックによる本物の“北インド料理”を提供する。 定番のバターチキンカレーは、甘口で食べやすく、旨みたっぷり。
日本にあるインド料理店といえば、バターや油を使ったカレーとナンがセットの“北インド”料理のお店が多いけど、元町にある「インダスレイ」は、お米が主食の“南インド”の家庭料理が味わえるお店。
ハイデラバード出身のお母さんが作るミールス(定食)は、スパイスとハーブがふんだんに使われていて、本場感MAX。食べ応えがあるけど、野菜が中心で、油が少なくさっぱりしているのも嬉しいところ。
インド料理に欠かせないのが、ターメリックやクミン、コリアンダーといったスパイスの数々。 風味を整えるだけでなく、体温を上げたり、リラックス効果があったりと、心身への作用も考えられているのだとか。
北野の「インド プロビジョン ストア」は、地下一階の店舗の天井近くまで、多種多様なスパイスがずらり。 チャイやカレーのスパイスから、何に使うのか見当もつかないスパイスまで、探検をする気分で買い物を楽しんで。
同ビルの2階には、現地感たっぷりのインド家庭料理が味わえるお店「クスム本場家庭料理」も。
異人館街が集まるエリアから少し西へ歩くと、突如として現れる真っ白でデコラティブな建物。厳格な菜食主義や不殺生で知られる“ジャイナ教”の日本で唯一の寺院で、正式名称は「バグワン・マハビールスワミ・ジェイン寺院」。
インドから取り寄せた純白の総大理石造りで、動植物を象った繊細な彫刻、きらびやかな金属の扉などがひときわエキゾチック。
キリスト教、仏教と並んで、世界三大宗教の一つである “イスラム教”。ニュースではよく耳にするけど、日常で身近に感じる機会は少ないのでは。
神戸には、日本で最初に建てられた立派なモスク(イスラム教の寺院)があり、周囲にはハラル料理(イスラムの戒律にのっとり調理された料理)のレストランや、ハラル食材を扱うショップなど、在住のムスリムの方々の生活を支えるお店も点在。
神戸で「中東」を近くに感じてみて。
1935年に創建された日本最古の歴史あるモスク。第二次大戦時の神戸大空襲や阪神淡路大震災を耐え抜き、立派なミナレット(尖塔)とドームがそびえる姿は創建当時のまま。
毎週金曜のジュマー(集団礼拝)の時間帯には、関西一円から世界各国のイスラム教徒が集い、さらに異国ムードが高まる。 イスラム教徒でなくても内部の見学は可能。真っ赤な絨毯が敷き詰められた礼拝堂内は、厳かな空気が漂う。
神戸ムスリムモスクの前の道を東へ進んだところにある、ハラル料理店「アリズハラールキッチン」。 パキスタン出身の店主のアリさんが2016年にオープンしたお店で、しっかりとスパイスが効いた本場の味を求めて、日本人のファンも多数。
ビリヤニ(炊き込みご飯)は、ボリューム満点でジンジャーなどスパイスの風味が、食欲と異国感を高める自慢の一品。
神戸ムスリムモスクのすぐ西に2021年にオープンした、中東のファストフードを味わえる「Kobe Shawarma」(神戸シャワルマ)。
笑顔が素敵なトルコ人シェフのムラットさん曰く、シャワルマとはケバブとほとんど同じで、中東ではメジャーな郷土料理。 日本ではケバブを名乗るお店が多い中、“本場の味を伝えたい”という想いから、シャワルマという店名にしたそう。
ファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)や、バクラヴァというスイーツなども、あわせて頼んでみたい。
六甲アイランドにある絨毯専門店「絨毯ギャラリー」に併設のミュージアムには、中東・イランを中心とした、シルクロード絨毯の貴重なコレクションが揃う。
絨毯に手を触れて間近に見る事ができ、遊牧民の生活や絨毯づくりの工程など、さまざまな関係資料も展示。 緻密な模様と重厚な質感のペルシャ絨毯で、中東の伝統技術と美を感じて。
ジャイナ教寺院やモスクに加え、北野にはユダヤ教のシナゴーグ(会堂)も存在。
神戸とユダヤ教のつながりは古く、 第二次世界大戦中には、ナチスの迫害を逃れた多くのユダヤ人が、ロシア経由で神戸に到着し、ひと時の安らぎを得たのだとか。 その歴史は神戸ユダヤ共同体(神戸ジューコム)跡地である、神戸電子専門学校南館の案内板で知ることができる。シナゴーグは外観ならいつでも見学可能。ヘブライ語やダビデの星のサインを見て、神戸とユダヤの歴史に想いを馳せてみては。