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六甲山のイルミイベントが2倍楽しめる「有馬温泉ルート」とは?

六甲山の秋といえば、ことしで16回目となる芸術祭「神戸六甲ミーツ・アート」。

9月20日からは土日祝の限定で、夜にイルミネーション作品を鑑賞できる「ひかりの森~夜の芸術散歩~」が始まりました。
11月30日までの開催です。

その初日を取材してきたのですが、そこに至る道のりが、予想以上にアトラクション感満載だったのです……!

神戸っ子にも意外と知られていない、お得な周遊チケットの紹介もありますよ♪




六甲山上で楽しむ秋風と光のアート

神戸六甲ミーツ・アートの夜間鑑賞「ひかりの森~夜の芸術散歩~」の会場は、ROKKO森の音ミュージアム、六甲高山植物園の2カ所です。

【ROKKO森の音ミュージアム】
好評で毎年の恒例となっている、髙橋匡太さんの「ひかりの実 in SIKIガーデン 2025」。カラフルな「ひかりの実」が、敷地内の庭園を彩ります。

この日、六甲山上には深い霧が立ち込めていました。写真が撮れないのでは……?と不安を抱えて入場したのですが、その霧がかえって幻想的な空気を醸し出していました。

作品のビジュアルはこうして写真で見ることができますが、その場に立つと「ひかりの実」や木々が、秋の夜風でざわざわと揺れるのです。その風情はなんとも言葉にしがたく、これはぜひ現地で味わっていただきたい感覚です。

森の音ミュージアムには他に、鍵井靖章さんのプロジェクションマッピング作品「懐と海」が2つあります。

また夜間鑑賞の対象作品ではありませんが、奈良美智さんの「Peace Head」が「ひかりの実」すぐそばにあるので、合わせて楽しめるのもお得な気分ですね。

【六甲高山植物園】
もう一つの会場、六甲高山植物園にあるのは、村松亮太郎/NAKED,INC.の「DANDELION PROJECT(ダンデライオン・プロジェクト)」。

ダンデライオンとはタンポポのこと。作者の村松さんは、世界中でこのダンデライオン・プロジェクトを開催して平和を訴えているそうです。

タンポポの綿毛をイメージしたオブジェと、その足元に広がる美しい花畑。
綿毛には1匹の蝶が止まっていて、そこに鑑賞者が息を吹きかけると、ある現象が起こるという参加型の作品です。

何が起こるかは、この記事では秘密。行ってみてのお楽しみ!
作品にたどり着くまでの園内の小径で、ライトアップされた植物たちもまた、アート作品のようでした。

【六甲枝垂れ「エモい展」】
六甲ガーデンテラスのすぐ近くにある「六甲枝垂れ」も、山上のナイトコンテンツとしては外せません。

「ひかりの森~夜の芸術散歩~」とは別料金になりますが、ここでも今「エモい展」というアートイベントが開催されています(11月24日まで)。

ここ10年ほどで若者を中心に使われるようになった「エモい」という言葉。英語のemotion(エモーション:感情)から、心が揺さぶられる様子を表しますよね。

現代美術アーティストや発明家、歌人など各ジャンルのアーティストが独自に解釈した「エモい」を全身で体感できるアートイベントです。

枝垂れの幹にあたる部分は中に入れるようになっていて、百人一首を現代的に言い換えた詩や

昭和百年をテーマにしたインスタレーションなど……思った以上に「エモかった」です。

「エモい」って本当に便利な言葉ですから、あえて「どうエモいのか」と言語化を試みるのも、一つの鑑賞方法かもしれないなと感じました。

作品は枝垂れの外側にもあるのですが、前述のように何せすごい霧。間近にある枝垂れさえも見えません。

ある意味「夢か。」を体感できたと言えるかも

ちなみに晴れているときは、こんなふうに見えますよ。

提供:六甲山観光株式会社

神戸六甲ミーツ・アートとのセット券もあります。

六甲ミーツ・アート+シダレミュージアム エモい展 セットチケット

今回、3会場を巡ってわかったのですが、会場と会場の移動ルートは普通の道路よりも街灯が少ないです。

見えない段差につまずいたりしないよう、ライト必須だと思いました! スマートフォンのライトでもいいですし、心配な方は小さな懐中電灯があってもいいかもしれません。

もちろん山上は街なかより季節が進んでいるので、上着も持って行ってくださいね。

有馬温泉と六甲山を一度に楽しめる、お得な周遊チケット

ここまで紹介した六甲山上のイベント、三宮から公共交通機関で足を運ぶとなると「阪急電車で神戸三宮→阪急六甲→市バス→六甲ケーブル」の往復と考える方がほとんどだと思います。

実はもう一つ、知られざるルートがあるんです。それは、有馬温泉を経由して六甲山上へ行くこと

「わざわざ大回りは面倒くさい」「交通費かかりそうだし」と思ったでしょう? そんな考えをひっくり返すお得な周遊きっぷ「有馬・六甲周遊1dayパス」があるんです。

その内容は


  • ・神戸市営地下鉄 三宮駅~(谷上駅経由)~神戸電鉄 有馬温泉駅
  • ・六甲有馬ロープウェー 有馬温泉駅~六甲山頂駅
  • ・六甲山上バス ロープウェー山頂駅~六甲ケーブル山上駅
  • ・六甲ケーブル 六甲山上駅~六甲ケーブル下駅
  • ・神戸市バス16系統 六甲ケーブル下~(阪急六甲)~阪神御影
  • ・阪急電鉄 六甲駅~神戸三宮駅
  • ・有馬温泉「金の湯」または「銀の湯」の入浴券

これだけついて2,900円! 乗り放題きっぷなので巡り方にもよりますが、一筆書き利用でも通常料金より1,500円以上も安くなります。

周遊パスチラシより

ちなみに、三宮までの私鉄の乗車券がついた「阪急版」「阪神版」「神鉄版」「山陽明石以東版・山陽全線版」もあります。

周遊パスチラシより

基本版に100~900円プラスするだけで私鉄の全線に乗れるなんて……神チケットとしか言いようがありません!!

今回は、この周遊きっぷを使って六甲山上のナイトコンテンツに加えて有馬温泉まで楽しんでしまおうという欲張りルートを紹介します。

まずは有馬温泉でゆったり

では、地下鉄三宮駅から有馬温泉へ出発です!

最初の改札入場だけ、時間が打刻されます

地下鉄北神線で、谷上までは約10分。谷上では同じホームの向かい側に神戸電鉄が3分ほどで来るので、乗り換えもスムーズです。

ここで一つだけ注意が。このままなんとなーく乗っていても、有馬温泉には行けません。途中の「有馬口」駅で下車して、有馬温泉駅ゆきの電車に乗り換える必要があります。

ここだけ盲腸線なんです

この電車も隣のホームですでに待っているので、乗り換えは超スムーズ。三宮駅からわずか30分で、有馬温泉に到着です。

有馬温泉、久しぶりに来ましたが賑わっています。もちろんインバウンド(外国人観光客)も多いのですが、日本人観光客のほうが多かった印象です。

まずは金の湯へ。銀の湯と迷ったけれど、やっぱり有馬温泉といえば黄土色の金泉ですよね。

あー気持ちよかった! 有馬温泉のお湯は熱めなので、この後のスケジュールが詰まっている私には、長湯せずに済んでちょうどよかったかも。

六甲山へ移動する前に、ちょっと腹ごしらえ。炭酸せんべいを重ねて卵液につけこんだ「炭酸せんべいフレンチトースト」をいただきます。

周遊チケットには提携店舗・施設で特典を受けられるチケットもついています。お土産店で炭酸せんべいをお買い上げ。

1割引になりました!

まさかの秘境体験ロープウェー!

さて、有馬温泉を満喫したことですし、いよいよ六甲山へ。移動に使うのは六甲有馬ロープウェーです。

神戸に40年住んでいる私、六甲ケーブル・まやケーブル・新神戸ロープウェイ・須磨浦山上遊園のロープウェイにはそれぞれ複数回乗っていますが……六甲有馬ロープウェーに乗るのは初めて。同じような神戸っ子も、多いのではないでしょうか。

ロープウェー乗り場までは、温泉街から約1km、徒歩15分です。

温泉街で人がにぎわっているエリアって、そんなに広くないんですよね。歩き始めるとすぐ、歩行者の少ない道路に出ました。

「車道沿いなら500m、急坂を登れば350m」って、観光客を試してるの? なんて一人で突っ込みながら(笑)。

わ、山道って感じになってきました。歩道もありません。土日祝は19時台まで運行しているロープウェーですが、徒歩の場合は明るいうちに利用するのがよさそうです。

カーブを曲がると、ロープウェーの駅舎が見えてきました! たしかに歩いた時間は15分もかからなかったくらいなのですが、なかなかの秘境感……。

こちらがロープウェーの有馬温泉駅。2020年に改装したばかりなので、内部はきれい&おしゃれです。

この日の天気は曇りだったのですが、どうやら山上は「霧」のようです……。

六甲有馬ロープウェーには赤・シルバーの2台のゴンドラがあり、今回は16:50発、赤色のゴンドラに乗り込みます。乗客は私を含めて12人。

発車してすぐに後ろを振り返ると、有馬の街並みが広がります。

ロープウェーが高度を上げていくと、だんだん前が見えなくなってきて……そう、霧です。

なんだか、未知の世界に飛び込んでいくアトラクションに乗っているような感覚です。
香港から来たという女性たちは「ミステリアス!」と言っていました。

針葉樹と霧だけの世界。まるで北欧に来たようです。

この日は霧のため水墨画のような世界でしたが、晴れていれば六甲山の四季が眼下いっぱいに広がります。季節や天気によっていろんな表情を見せてくれるのが、六甲有馬ロープウェーの魅力です。

これからは紅葉の季節です(提供:株式会社こうべ未来都市機構)

空中散歩は12分間。「たっぷり乗ったな」という体感でした。

六甲山頂駅の標高は880m。乗り込んだ有馬温泉駅が433mでしたから、2倍以上の標高を獲得したことになります。そりゃあ霧も出るわけだ、と納得です。

駅を出ると目の前は真っ白。

ここから六甲山上バスに乗り「イルミネーションの写真、ちゃんと撮れるかな……」と一抹の不安を抱きながら、森の音ミュージアムや高山植物園の光のアートを見に行ったというわけです。

周遊チケットでいくらお得になった?

今回利用した「有馬・六甲周遊1dayパス」で、結局いくらお得になったのでしょう? 以下に、私が利用した交通機関や施設の通常料金を記します。


  • ・神戸市営地下鉄 三宮駅→(谷上経由)→神戸電鉄 有馬温泉駅 720円
  • ・有馬温泉「金の湯」 800円
  • ・六甲有馬ロープウェー 有馬温泉駅→六甲山頂駅 1,400円
  • ・六甲山上バス
  •   ロープウェー山頂駅→森の音ミュージアム 230円
  •   森の音ミュージアム→六甲高山植物園 230円
  •   森の音ミュージアム→六甲ガーデンテラス 230円
  •   六甲ガーデンテラス→六甲ケーブル山上駅 370円
  • ・六甲ケーブル 山上駅→六甲ケーブル 下駅 800円
  • ・神戸市バス16系統 六甲ケーブル下~阪急六甲 230円
  • ・阪急電鉄 六甲駅~神戸三宮駅 200円

合計すると5,210円。周遊チケットの値段が2,900円だったので、2,310円もお得に!! いや~、本当に神チケットですよね。

神戸六甲ミーツ・アート鑑賞を、毎年の恒例にしている方も多いと思います。いつも六甲ケーブルで往復する「東六甲周遊乗車券」を使っている方は、今年はちょっと趣向を変えて有馬温泉もプラスした楽しみ方をしてみてはいかがでしょうか?

実は9月末に、京阪神エルマガジン社からムック本『六甲山・有馬温泉の本』が発売されたばかり。こちらを手に、ぜひ秋の六甲山と有馬温泉を満喫してくださいね!

INFORMATIONインフォメーション

神戸六甲ミーツ・アート「ひかりの森~夜の芸術散歩」

https://rokkomeetsart.jp/hikarinomori/

六甲枝垂れ シダレミュージアム「エモい展」

https://www.rokkosan.com/gt/art/

有馬・六甲周遊1dayパス(基本フリー版)

https://kotsu.city.kobe.lg.jp/ensen-navi/bus-railway/arima-rokko/

エルマガムック『六甲山・有馬温泉の本』

https://www.lmagazine.jp/mook/MOOK6190897/

【ライタープロフィール】
合楽 仁美(ごうらく ひとみ)
神戸出身&在住のライター。経済メディアNewsPicksなどで活動。
2025年3月まで神戸市公式noteのライターを務めた。
お酒は弱いが酒場の雰囲気が好きで、数年前からバー巡りに凝っている。
縁側があって海の見える家に住むのが夢。