半地下の広場「三宮プラッツ」に5日連続で通ってみたら…?
三宮・元町・旧居留地の3エリアがちょうど交わる辺りにある、ちょっと窪んだ半地下のまちなか広場「三宮プラッツ」を知っていますか?
万華鏡のようにキラキラ輝く、この大きなルーフ(屋根)が目印です。

もともとこの場所は、地下駐車場・地下通路に降りるための通り道(踊り場)にすぎませんでした。
でも、せっかくスペースがあるならイベントができる広場にしては?と神戸市が整備。2020年から正式にまちの賑わい広場として活用されています。ちなみに「プラッツ」とはドイツ語で「広場」の意味だそうです。
ここが「三宮プラッツ」という名前でイベントのできる広場として活用されていることは知っていたのものの、イベントといっても週末か不定期に開催している程度だろう、と思っていました。
しかし三宮プラッツ公式サイトのスケジュールを見てみると、週に5日もイベントが開催されていたのです!

週5ってもう「ほぼ毎日」じゃないですか!しかも平日のイベントは夕方から夜にかけての開催。
ナイトタイムエコノミーを推したい私たちとしては、これを見逃すわけにはいきません。
せっかくなら1日だけでなく1週間丸ごと、つまり5日連続で通ってみてイベントごとに異なるプラッツを味わってみよう!
……と、ライター歴10年で初となる「5日連続!体当たり取材」を決行しました。
取材は7月17日(木)~21日(月祝)の5日間。この日程にした理由は「5日連続で通えるのがこのタイミングしかなかった」からで、各イベントの前情報も何もないままプラッツに向かいました。
さて、そこにはどんな景色が広がっていたでしょうか。
【1日目】7月17日(木) 日本酒
記念すべき初日は「まちなか日本酒日和」。三宮プラッツでは毎週木曜日をPLATZ BALとして、週替わりでいろんなイベント&お酒を飲める曜日にしています。毎月第3木曜は日本酒の回なんですって。
(第1:紅茶&ジン、第2:ワイン、第4:ビール、第5:ハイボール)
平日にお勤めの人は金曜に飲み会が入りがちですが、「あと1日がんばれば週末だ~」という木曜の夜の気分を、いい感じにくすぐってくれます。
この日提供されていたのは、青森、岩手、秋田、山形産の4種類の日本酒。グラス1杯500円です。ガラス製のグラスで飲めるのが本格的。

ちょっと飲んで帰りたいけど、居酒屋やバーに入るほどじゃない。そんな気分のときにぴったりですね。
写真はありませんが、お酒の弱い人向けに試飲用ミニカップ(300円)もあるのが嬉しいところ。
この日は、プラッツにときどき顔を出すというおなじみメンバーが自然と集まり、持ち寄った楽器でセッションをする場面も。

それにしても、メニュー表にある「リベンジ」って何なんでしょう?

実はこのイベントは「今月は◎◎地方」と毎月テーマを設定していて、この日は「東北のお酒」でした。日本地図のカードがもらえるので、飲んだお酒の都道府県を自分で塗りつぶすスタイル。
1回でも逃すとコンプリートできない……とならないよう、リベンジ用に前回の地方のお酒も置いているんですって。
「日本酒が好きなんです」と1人で立ち寄った女性は、先月に続いて来たそうで、日本地図のカードを持参していました。

途中でパラパラと弱い雨が降ってきたのですが、キラキラルーフの下にいると、降ってきたことにさえ気づきませんでした。
それにプラッツは地下駐車場・地下通路への入り口なので、端のほうには庇(ひさし)がありますし、少しくらいの雨なら対応可能なんです。
ちなみに、すぐ近くに公衆トイレもあるのでお酒イベントでも安心です。

【2日目】7月18日(金) フラダンス
2日目はハワイアンフラショー「ALOHA FRIDAY」です。神戸や大阪で活動する2つのフラグループ&1つのハワイ音楽バンドがライブをおこないます。 開始10分前にプラッツに着いたときには、すでにたくさんの観客が!

ゆったり癒やされるハワイのフラダンスと、力強い南太平洋のタヒチアンダンスが披露されました。ああ、気分だけでも涼やか~。

この日、思いがけない偶然の出会いを目撃したんです。
私が通路で写真を撮っていると、ある親子が通りかかりました。看板を何気なく見た娘さんが「あ、これ◎◎ちゃんや!」と叫んだのです。どうやら、出演するフラチームに高校の同級生がいたそう。
選挙の期日前投票を終えて食事に行く予定だったそうですが、親子は足を止めてフラダンスを楽しみ、休憩時間にはダンサーとして出演するお友達と再会したのです!突然のことにお友達もびっくり。

こんな偶然、コンパクトな神戸のまちのサイズ感ならではかもしれないなぁと、嬉しくなっちゃいました。
【3日目】7月19日(土) 音楽ライブ
3日目は音楽ライブ「Busk in KOBE」です。

Busk(バスク)とは路上演奏のこと。私たちが街なかで見かける路上ライブの多くは無許可でおこなわれており、本来はNG。とはいえ、それらは文化の小さな芽でもあります。
そこで、審査を通過したアーティストが指定された路上空間で演奏やパフォーマンスをできるようにしたのが「Busk in KOBE」という仕組み。いわば神戸の“公認”アーティストです。
ルールを守りつつアーティストの発表の場を確保し、まちの文化も豊かにする取り組みは、2003年にロンドンで始まったものです。
この日の出演は、シンガーソングライターのフクナガコウタロウさん。

自作の曲や有名アーティストのカバー曲など、やさしい歌声と人柄で観客を魅了していました。
ギャラリーにはフクナガさんのファンだけでなく、「特定のアーティストのファンではないけれど、Busk in KOBEによく来る」という5歳の男の子とお母さんがいました。
お母さんいわく、Busk in KOBEをきっかけに色んなアーティストを知れて楽しいとのこと。小さいお子さんがいるとライブハウスには行きにくいので、お子さんの状況に合わせて音楽を聞ける場はいいですよね。

他にも、お買い物の休憩がてら15分ほど聞いて行った家族づれもいて、街なかに“生のBGM”が自然に流れているような空間でした。
【4日目】7月20日(日) 応援酒場
5日連続の体当たり取材もいよいよ後半。日曜なので、イベントは夜ではなく日中の開催です。

応援酒場は、新長田で若者の居場所づくりのNPOを運営する今井直人さんの企画です。
若者がここでライブなどのパフォーマンスをするのですが、そのすぐ横で1杯500円のドリンクを売っています。この売り上げが、運営費用へのチャリティーになるという仕組み。
居場所づくりは収益の出にくい事業なので、①若者の発表の場、②運営費用の両方を確保しようというわけです。
マジックを披露してくれたのはKEISHO(けいしょう)さん。18歳の若さですが、趣味ではなくプロのマジシャンとして活動しているそう。 この日、私は何度も「えー!うそー!」と歓声を上げました。

こちらの男性は、パンクロックバンドのSTRUM MEMORIES(ストラムメモリーズ)。19歳ながらブルーハーツを歌うとは、めっちゃ渋い!!

20歳前後の若者を応援する今井さんも、まだ31歳。“ちょっとお兄さん”な立ち位置が、若者たちも心地いいんでしょうね。 自分の好きなことを追求する若者と、それを見守るお兄さん。5日間ではギャラリー少なめの日でしたが、私の胸が一番熱くなったのは、この日だったかもしれません。
【5日目】7月21日(月) ラテンダンスナイト
取材最終日はラテンダンスです!
地下道からプラッツへ向かったのですが、地下階で誰の姿も見えないときから、ノリノリのラテン音楽が聞こえてきました。
うわぁ、すごい!

年齢も国籍も関係なく、みんな踊る喜びを嚙みしめている。なんだか日本じゃないみたい……!
踊っているのは普段ラテンダンスをやっている人や、中南米出身の人が中心ですが、もちろん誰でも参加OK。

さすがに踊りの輪に入るのはちょっと……という人も、見ているだけで楽しい気分になれるのか、ギャラリーも多かったです。
たっぷりミントを使ったモヒートを飲みながらラテンダンスを見るなんて、心は中南米にトリップしていました。

5日連続取材のフィナーレを飾るにふさわしい夜でした。
運営事業者・市橋さんに聞いてみた
いや~。日によってイベントの内容やお客さんのカラーも全然違い、三宮プラッツのさまざまな表情を見ることができて、とても楽しい5日間でした。
この三宮プラッツを運営するのが、神戸市から事業を委託されている株式会社トーハク。2022年から運営に関わり、ことしで4年目です。
代表の市橋英紀さんにお話を聞くと、はじめは今よりもっと知名度が低く、出演者集めにも苦労したそうです。

「ただの場所貸しではなく、出演者の思いやコンセプトに寄り添うようにしてます」
その積み重ねもあって少しずつ仲間が増え、今は半年前から受け付けている出演の申し込みも、すぐ埋まってしまうとか。
でも、参加者・ギャラリーになってくれるお客さんについては、まだ課題もあるようです。
「プラッツは半地下でしょ?階段を降りて参加する心理的なハードルが高いようで、平面のイベントよりも立ち寄ってもらいにくいんですよね」
たしかに。地下の飲食店に入っていくのも、初めてだとちょっと勇気いりますもんね。
「でも、だからこそのメリットもたくさんあります。 夏は日陰になりやすく地上より少し涼しいですし、まちなかにしては珍しく壁に映像を映すこともできます。道路から離れているので、安心安全な空間なんです」
そう、5日間通い続けた私が断言します。三宮プラッツ、めっちゃ楽しいです!半地下で囲われている空間だからこそ、雰囲気もあったかいですし。
「神戸にこんな人がいるんや」と出会いや発見がたくさんあって、神戸のことがもっと好きになれる空間です。
一番下の広場まで降りなくたって、コンビニでビールを買って夜風に吹かれながらライブやショーを見るだけでも、おうちに帰る前のリラックスになること間違いなしですよ。
今日は何やってる?公式サイトとInstagramで確認
この記事を読んで三宮プラッツが気になった方は、近くを通りかかったときに「プラッと」覗いてみてはいかがでしょうか(プラッツだけに)。
イベントスケジュールは、三宮プラッツの公式サイトとInstagramで確認してくださいね。とくに天候の都合で開催が危ぶまれるときや急な変更などは、Instagramのストーリーでお伝えしています。 この記事で紹介した日本酒日和やフラダンス、ラテンダンス、Busk in KOBEは8月も開催されますし、8月23日(土)には盆踊りもある納涼夏祭りが開催されます!

「ほぼ毎日、何かやってる三宮プラッツ」として、ぜひ覚えてくださいねー!
INFORMATIONインフォメーション
| 三宮プラッツ公式サイト | |
|---|---|
| 三宮プラッツInstagram |
【ライタープロフィール】
合楽 仁美(ごうらく ひとみ)
神戸出身&在住のライター。経済メディアNewsPicksなどで活動。
2025年3月まで神戸市公式noteのライターを務めた。
お酒は弱いが酒場の雰囲気が好きで、数年前からバー巡りに凝っている。
縁側があって海の見える家に住むのが夢。