2026.05.07

ゆるりらと 神戸と出会う!~翻訳できない感覚のより道~

ゆるりらと 神戸と出会う!~翻訳できない感覚のより道~

神戸を拠点に、日々の光や、誰かのおまもりになるように絵を描いています。
画家・イラストレーターの みしまあきひろ です。
まち歩きや散歩は、アイデアの原点。
この連載では、絵を描く手前にある視点を綴っていきます。


ちょっと力を抜いて、神戸を歩いてみませんか。「ゆるりらと」。
自分の中では、そんな言葉がしっくりくる歩き方です。
今回も前回に引き続き須磨へ、寄り道するように。
「ゆるりらと」まちを歩いてみました。

 

前回に引き続き、慣れ親しんできたまち須磨を歩きます。
今回は、寒さと暖かさの間。
冬から春へと移り変わる、須磨の時間をお届けできたらと思います。

 

 

線路と人の距離が近い場所。

 

山陽電鉄「月見山駅」から海側へ降りていくと、
水族館へ向かう道の途中に、泳ぐ魚たちの絵があります。

 

小さい頃から勝手に自分の家の水槽と思い込んで、
このまちに住むのが、誇らしい気持ちになっていました。

 

その道の途中にある素敵なお店をご紹介します。

【取材・文・詩・絵】みしま あきひろ

神戸在住の画家、イラストレーター。絵を通して様々なコミュニケーションを介して作品を制作活動をしています。何気ない目線、人やまちとのふとした出会い、自然に文化と出会える心地の良い風が吹く、神戸をお届けいたします。

 

Samar(須磨区)

 

冬の12月、小学生達の放課後。それぞれの帰り道につく時間。

少しまちの明かりは白く光るものが多い中、お店から暖色の明かりは優しく光っています。

 

 

実は近所なので個人的なおすすめはこのセット。サバサンドとチャイ。

夜のBAR だとスパイスハイボールおすすめです。

仕事に疲れてると最近はスパイスと香りを求めがちな、今日この頃。

香りと優しい明かりと空気に助けをいただきます。

 

 

サマルのお店の窓側にあるクイズ。

今日は「問題」で、明日は「答え」そんな繰り返しだそうです。

子どもの頃、どうしてあんなに夢中で問題を解いていたのだろう。

そんなことを思い出しながら、この光景を眺めていました。

 

 

「お菓子ちょうだい」と子どもたち。

「あげられへんよ。みんなお菓子もらいに来たら大変になるやん」と店主。

ただ優しいお店の人という距離ではなく、他愛もない会話がある日常。

 

子どもたちとの関わりは、お店をオープンする前の改装の時から始まったそうです。

その時から続く、店主と子どもたちの距離感が、なんだか心地よく感じました。

 

そんな始まりからまちにクイズを出す様になったそうで。

まちになんでもない問いをかけてる様で、素敵と感じながらチャイを飲む。

 

サマルはまちのホットステーションみたいになればいいなというところからはじまったそうです。

まさにほっとする場所だなと、しみじみ思った放課後の時間。

 

この「サマル」という名前の由来は後半の楽しみにとっておくとしましょう。

 

Information

カフェバー Samar サマル

住所 神戸市須磨区月見山本町1-1-10
アクセス JR「須磨海浜公園」駅より徒歩4分
山陽電鉄「月見山駅」より徒歩約4分
営業時間

CAFE:12:00~18:00
BAR:20:00~24:00
All Closed:日曜日
CAFE Closed:日曜日・月曜日

Instagram https://www.instagram.com/cafebar_samar_suma

須磨海浜公園/昭和天皇が植樹された松(須磨区)


 

3月の松林と海。須磨海浜公園。

寒さも少し混じった心地の良い浜風が吹く、快晴の春。

犬の散歩をする人、走っている人、友達と話す人。

子どもたちのキャッチボール。

それぞれの過ごし方と、海との距離感が心地よい時間です。

 

海へ向かう前に、松林が出迎えてくれます。
大正・昭和の天皇は、たびたびこの地を訪れ滞在されていたそうです。

 

かつて須磨にあった皇室の別荘「武庫離宮」(現在の須磨離宮公園)。

その敷地内や近隣には多くの松が植えられ、須磨海浜公園にも記念植樹が行われていた歴史があります。

さまざまな歴史の重なりを思うと、須磨区の木は「松」だということに、どこか考え深さを感じます。

 

松林から海へ。

 

松葉の隙間から差す光は、まぶたを細めて見る光のようでした。

 

和田岬灯台(須磨区)

 

松林の隣には、空や海の青の中に赤い建物が見えてきます。
あたりとのコントラストが気持ちのいい和田岬灯台。

 

昔は神戸初の水族館「和楽園水族館」近くの和田岬に設置されていたそうで、
今でも水族館の近くで静かに佇んでいる姿を見ていると、
松林と同じように、このまちを守ってきた存在のように感じました。

 

この日はたまたま灯台の上にある風見鶏に本物の鳥が止まって、
気持ち良さそうに風を待っていました。

 

そして、海のマルシェへ。

 

BOKETTO マルシェ(須磨区)

 

海岸のそばで開催されるマルシェ。

 

ご飯屋さん、パン屋さん、本屋さん、お花屋さん、骨董品屋さん、絵本屋さん、
包丁研ぎ屋さん、量り売り屋さん、チャイ屋さん、石屋さん、描き屋さんなど、
ひとことで説明できない「~屋さん」たちのお店がずらりと並んでいます。

 

「天然石7Seas」こどもチャレンジブースでは 石を販売する中学生の女の子

 

「包丁研ぎ青年 陽向」どんな時期でも包丁を研いでる青年

 

このマルシェの発起人であり、コンセプターでもある
旅するオウチ の コンドウミホさん にお話を伺いました。

 

普段は設計のお仕事をされており、
コロナ禍でさまざまな工程が止まっていた頃、
片付けコンサルを始めたことがきっかけだったそうです。

 

片付けをしていると、多くのゴミが出ること。
量り売り屋さんとしてほかのマルシェに参加した時にも、
たくさんのゴミが出てしまっていたこと。
お金を出して物を買い、捨てるということ。

 

そんなある日、あるニュースを目にしたそうです。

 

「海のプラスチックの量は、2050 年までに魚の量を上回る」
「このままじゃ、大好きなお寿司が食べられなくなる!」
そんな話をご家族としていた中で、
「人が集まる」=「ゴミが多く出る」という当たり前を、楽しく変えていけないか。
環境問題に、もっと身近に、もっと楽しく関われるマルシェはできないか。

 

そんな思いから、BOKETTO マルシェが生まれていきました。

 

このマルシェの出展者を選ぶ基準は、
こだわりが強すぎる人。
マニアックなくらい、好きなことを続けている人。

 

そんな人たちが集まることで、
自然とここの空気が生まれていくんだと思いました。

 

環境問題も、どこか遠い話ではなく、
日々の延長として関わっていけたらいい。

 

まずはマイカップやマイ皿を使ってみることから。
それぞれのペースで楽しみながら、
気づけば輪ができて、ゆるやかに繋がっていく。

 

ゆるいけれど、ちゃんと続いていく。
そんな感覚を大切にされているのだと感じました。


 

「すまっこの森」焚き火でナンを焼くみなさん

 

「スネ夫先生の図工キャラバン」集中して絵を描く女の子

Information

BOKETTOマルシェ

住所 神戸市須磨区須磨浦通2丁目4
アクセス JR「須磨」駅より徒歩8分 ・山陽電鉄「須磨」駅より徒歩8分
開催日時 SNS にて開催日時や詳細についてお知らせしております。
Instagram https://www.instagram.com/boketto.suma/


今回、こんな嬉しい偶然がありました。

外国語のなかには、他の言語に訳すときに一言では言い表せないような、各国固有の言葉があります。

 

それらをまとめた本、
エラ・フランシス・サンダース『翻訳できない世界の言葉』。

 

なんと、この一冊の本から、
それぞれのお店やマルシェの名前が決まったそうです。

 

「SAMAR」
日が暮れたあと、遅くまで夜更かしして、友達と過ごすこと。

 

「BOKETTO」
なにも特別なことを考えず、ぼんやりと遠くを見ているときの気持ち。
※『翻訳できない世界の言葉』より

 

言葉にする時、つい意味や理由、正しさが前に出てしまって、
抜け落ちてしまう気持ちがある気がします。

 

うまく伝わらなかったり、
そんなつもりじゃなかったのにと思ったり。

 

それは、綺麗だなと思う瞬間も同じで、
例えば、久しぶりに見る海に心がほどけたり、
こどもたちの笑顔に、ふっと顔がほころんだり。

 

言葉にする前にある感動の感覚は、
人それぞれの中に大切にあるものなのかもしれません。

 

 

この本をきっかけに、
まちをもう少し違う目線で見てみたくなって、
帰り道、須磨の本屋さんにふらりと立ち寄ったのは、
ここだけの内緒のお話。

 

みなさんのまちの、
翻訳できない場所や感覚を探してみてはいかがでしょう。

 

 

 

歩んだ道と出会いから、
新たに描いた絵と詩をお届けしております。

 

それぞれの感じたままの神戸と出会えますように。

 

※今回の取材を元に絵と詩を毎回制作します。

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