COLUMN

2021.08.02

六甲軽登山と山のグルメ 神戸観光の新たな提案

六甲軽登山と山のグルメ 神戸観光の新たな提案

眺望と山のグルメを味わえる半日旅

海に面した神戸の背後には、阪神タイガースの球団歌「六甲おろし」でおなじみの六甲山系がそびえます。神戸市内でだけで58もの登山口があるといい、市民に親しまれている山々です。今回は新緑の六甲を、阪急六甲駅近くでアウトドアショップ「白馬堂 Rokko」を営む浅野晴良さん(48)に案内してもらいました。だれもが気軽に六甲の自然や眺望を楽しめ、山のグルメも味わえる半日旅です。「午前中は山を楽しんで午後、三宮周辺などを観光するのもいいですよ」と言う、浅野さんの新たな神戸観光での提案でもあります。

目指すのは樹木のマークと神戸の市章の形に植栽した錨山いかりやま(269m)と市章山ししょうざん(275m)です。電飾が施され、夜のライトアップが有名です。出発はJR元町駅西口。北に10分ほど歩くと、県庁前交差点を経て突き当たりが諏訪山すわやま公園です。右手に舗装された坂道が見えました。ここからゆるゆると登りに入ります。浅野さんによると、この公園には1951年まで動物園があり、その様子を示す説明板を見つけました。

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舗装された登り口。ここから山歩きが始まる

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ビーナスブリッジ。特徴的な形状をしている

鮮やかな緑の中を少し歩くと、「金星台」という高台に着きました。出発から20分余りでしょうか。ここは1874年、フランス人の天文学者が金星を観測した場所です。南は眺望が開け、神戸の街が見下ろせます。十分素晴らしいですが、さらに10分ほど登ったビーナスブリッジが、最高の夜景スポットとして知られています。緑色の8の字形のらせん橋で、愛の女神ではなく、金星の「ビーナス」にちなんだ名です。

この橋にはかつて「好きな人と訪れ、鍵をかけると結ばれる」という南京錠伝説がありました。いまは登り切ったところに鍵を取り付けるモニュメントが設けられています。鍵は定期的に取り外されます。溶かして四つ葉のクローバーをかたどった「愛のプレート」に作り直され、モニュメントの足元にはめ込まれるのです。ロマンチックですね。

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愛の鍵モニュメント。多くの鍵が取り付けられている

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気持ちのよい森の中を登っていく

ここからが土の登山道です。山に向かうドライブウェイを横切り、「市章山・錨山」という案内表示を見逃さないように直登コースを一歩一歩登ります。稜線に入り、出発から1時間で錨山の展望台です。神戸の街はもちろん、大阪湾から和歌山方面、友ケ島、淡路島が一望できます。神戸空港に着陸する旅客機も見えました。「登って来た」という満足感があふれます。これで引き返すのもありですし、片道5分ほどの市章山に足を伸ばし、二山踏破を目指すのもいいでしょう。様々な鳥のさえずりが耳に入ります。特にウグイスが美しい鳴き声を聞かせてくれました。

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錨山からの眺望。眼下に神戸の街と海が広がる

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六甲山の登山地図にも携わる浅野晴良さん

下山は元の道です。ドライブウェイに合流したら北に50m上り、「茶屋」を目指します。茶屋は弘法大師ゆかりの再度山大龍寺ふたたびやまたいりゅうじに通じる大師道沿いにあります。道路わきの「再度谷と森林」という案内板に「再度谷(大師道)を経て再度公園へ約4㎞」と表示されています。見落とさずそこから下に降りてください。市章山まで行っても出発2時間足らずで茶屋に着きます。「行きも帰りもドライブウェイ横断の際は、車には注意を」と浅野さんは力を込めました。気を付けましょう。

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「再度谷と森林」の案内板。灯籠茶屋への道の目印だ。

燈籠茶屋(とうろうちゃや)

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灯籠茶屋。休業中でフェンスも閉じていた

1923年に開業した燈籠茶屋は、残念ながらコロナ禍の影響で休業中でした。目的道半ばといったところでしたので、緊急事態宣言開けの6月に再訪しました。築60年近いという建物はレトロな雰囲気です。七輪で焼き上げる名物のトースト(税込み190円)とコーヒー(税込み220円)をいただきました。トーストは「アベックで」と言うと、バターとジャムを半々に塗ってくれます。外はカリカリで香ばしく、中はふっくらでした。麺類や卵焼き、日曜祝日限定のおでんも人気です。屋外にもテーブルがあり、木陰で過ごす人もいます。3代目の前中義雄さん(70)、さよ子さん(69)夫妻が営み、もうすぐ100年の節目を迎えることになります。

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1923年開業の歴史を持つ燈籠茶屋。現在の建物も雰囲気がある

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燈籠茶屋の名物、七輪で焼いたトースト。「アベック」はバターとジャムが半々に塗られている

ここからの下山は再度谷の左岸、下流に向かって左側を行きましょう。舗装路の右岸より左岸の方が自然を楽しめます。1㎞余りで諏訪神社に着きました。1600年以上の歴史があるとされます。参道を降りきると登り始めの地点です。ここまで約5㎞、茶屋に寄らないと2時間半。茶屋で30分過ごしても3時間ほどの小旅行です。

「海が見える山なのが、他にない六甲の魅力。登山と身構えずに気楽に楽しんでほしい。」

登山地図の監修もしていて週に3、4回は山に入る浅野さんは、そう言います。今回の山行もスニーカーで十分でした。新緑でしたが、秋の紅葉も素晴らしいとのこと。夏は暑いのでケーブルカーなどで上がってもいい。神戸に泊まったら、翌午前は六甲の自然と茶屋などに触れてみるのはいかがでしょう。今回のコースなら午後も十分観光できます。午前と午後のスケジュールを入れ替えてもOKです。

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神戸市街から望む錨山

浅野さんには、次のようなルートも提案いただきました。

須磨アルプス
市営地下鉄妙法寺駅発。六甲山系の西端にある須磨アルプスの岩稜「馬の背」を目指す。山陽電鉄・市営地下鉄板宿駅方面に下り、板宿商店街でご飯を楽しむ。約5㎞。

高取山
板宿駅発。下町の裏山・高取山に登る。山頂には高取神社。新長田へ下山し、鉄人28号のモニュメント(直立時の設定18m)を見て、そばめし(神戸チャーハン)を食す。約5㎞。

摩耶山
摩耶ケーブル虹の駅(中間駅)から歩き、日本三大夜景の一つとされる掬星台へ。海の景色を楽しむ。CAFE702でランチ。帰りもケーブルで約1.5㎞。

旗振山はたふりやま
山陽電鉄須磨浦公園駅や山陽塩屋、JR塩屋駅から、六甲山の最西端に登り、明石海峡を望む。海に近い塩屋へ下山。ワンダカレー店またはピザ・アキラッチでランチ。約5㎞。須磨浦公園駅からロープウェイも使える。

神戸観光ではぜひ、六甲山もメニューに加えてみてください。

SHOP INFO

燈籠茶屋
住所:神戸市中央区神戸港地方再度谷55
TEL:078-341-9717
営業時間:平日 5:00~13:00(オーダーストップ12:30)/ 土日祝 5:00~14:00(オーダーストップ13:30)
定休日:木曜(不定休あり)

SHOP INFO

白馬堂 Rokko
住所:神戸市灘区宮山町2-4-7 サニー六甲2号
TEL&Fax:078-841-8986
営業時間:12:00~19:00
定休日:火・水曜

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