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2022.10.28

「神戸は写真都市として魅力にあふれている」東京カメラ部 代表 塚崎秀雄 さん【インタビュー】

「神戸は写真都市として魅力にあふれている」東京カメラ部 代表 塚崎秀雄 さん【インタビュー】

行ってみたいと思わせる、美しい風景の写真。
実際にその場所を訪れ、記念撮影にパシャリ。
SNSにアップする、旅行中のとっておきの一枚。
あの時の旅行を思い出す、スマホの中の写真の数々。

切っても切れない関係にある、写真と旅行。


今回、神戸で写真を撮る魅力や、 写真×神戸観光の可能性を探るために、 550万人のユーザーを抱える日本最大級の審査制写真投稿サイト 「東京カメラ部」の代表である 塚崎 秀雄さんをお招きし、 神戸の街を巡ってもらいました。

その際の様子を交えながら、印象に残った神戸のスポットや、 写真撮影のヒントについて、インタビュー形式でご紹介します。


【訪れた場所】

北野異人館街、南京町、ハーバーランド、旧居留地、苅藻島クリーンセンター、 明石海峡大橋、ポートアイランド北公園、布引の滝、átoaなど

塚崎 秀雄 さん / 東京カメラ部株式会社 代表取締役社長

1969 年生まれ。東京証券取引所に在職中、 カリフォルニア大学バークレー校に MBA 取得のため渡米。 IT ベンチャー企業の集まる街、バークレーでの自由で活気に満ちた生活を通して、 自身の理想とする価値観を持った会社を生み出す方法として、起業に興味を持ち始める。 2007年にウィルヴィー株式会社を設立。2012 年に立ち上げた「東京カメラ部」が グループ全体で 550 万人を超えるユーザーを抱える日本最大級の審査制投稿サイトへと成長。 2017 年に社名を「東京カメラ部株式会社」に変更し、 現在も規模を拡大中。



―― 神戸に来られるのは初めてと伺いましたが、 来る前と来てからでイメージは変わりましたか?


思っていた以上に、若い女性の方が多く歩いているように感じました。おしゃれな街という神戸のイメージが、特に女性に好かれやすく、多くの方を惹きつけているのだと思います。

また、神戸は歴史ある港町というイメージがあったので、古いもの、レトロなものがたくさん残っていると思っていたのですが、意外と新しいものが多いと感じました。最新のスポットやお店が、昔からあるものと上手く調和しているような気がします。

あと、事前にイメージは無かったのですが、何より印象に残ったのは、街がコンパクトであることです。異人館から中華街、旧居留地といった、たくさんの見どころがギュッと詰まっていて、海にも山にもすぐに行くことができる。こんな街はなかなか他に無いですよ。


―― ありがとうございます、そう言っていただけると神戸観光に携わるものとして嬉しいです。今回ご案内した中で、最も印象に残っている場所はどこでしょうか?


やっぱり「苅藻島クリーンセンター」(※)ですね。鉄骨が縦横無尽に入り組んだ建築ですごかったという工場萌え的な面もありますが(笑)、普段生活している中で、見ることができないものが撮れるというのは、それだけで価値があります。

(※)長田区にあるゴミ処理施設。現在は焼却停止しており、今回観光資源として活用する観点から、特別に内部視察を行いました。

施設内はテーマパークのセットのようにも見えますが、ゴミ処理場として稼働していた”本物”の施設じゃないですか。ボイラーやダクトなど一つ一つの設備がリアルで、長年人々の生活を支えてきたという社会的な意義があるという点でも、非常に価値があると思います。


―― 確かに、「苅藻島クリーンセンター」ではずーっとテンション上がっていましたね(笑)。 神戸にはこうした施設や工場がたくさんあるので、観光資源として活用しようと、神戸観光局でも産業遺産ツアーなどを企画しています。
ほか、観光客の方も普通に見に行けるもので、何か印象に残った場所はありますか?


「鉄人28号モニュメント」もすごく印象に残りました。漫画の設定と同じ約18mの高さを再現しているということで、これもある意味 ”本物” ですよね。大きさに圧倒されました。

そして、駅前という日常空間にあるという点も、日常と非日常が混ざり合っている感じがして良いですよね。買い物袋をもって自転車に乗った人が、鉄人28号の足の間をとおり抜けていくなんて、よく考えると非常に面白いです。


―― 「鉄人28号モニュメント」では色々な構図で撮影をされていましたね。あのような大きなモニュメントや定番のスポットは、誰がとっても同じような写真になってしまい、撮るのが難しいように思いますが、撮影のコツはありますか?


偶然性のある要素を写真内に入れると良いと思います。偶然性のある要素とは、通行人や飛んでいる鳥が映り込むのを待ったり、朝日や夕陽の時間帯を狙ったり、雨が降ったあとの水たまりに反射させたり、といった”その時にしか映らないもの”を写真内に入れ込むということです。そうすると、同じ被写体を撮影していても、個性のある写真が撮れますよ。


―― とても勉強になります!私も被写体と構図を決めたら、即シャッターを押していたので、偶然性のある要素をプラスアルファで入れるようにしてみます。


そうですね、定番のスポットは、何か偶然性のある要素を足すと良い写真になることが多いです。

例えば、北野異人館街の「風見鶏の館」は、神戸観光のシンボル的存在として、長年にわたってたくさん取り上げられてきていると思います。そこにプラスアルファの要素として、例えば、港に浮かぶ船を背景に入れたり、風見鶏と太陽や月が重なっている瞬間を狙ったりすると、また新しいものとして映るのではないでしょうか。


―― なるほど、確かに風見鶏の館は昼の写真が多く、構図もパターン化しがちです。風見鶏の館を望む「北野天満神社」で、空にスマホをかざして、太陽の位置を予測されていましたが、あれはなんというアプリですか?


「サン・サーベイヤー」です。日時を指定すれば、その時間の太陽や月の位置が画面上にARで映るというもので、風景写真を撮るなら必須のアプリです。仕事で各地に撮影や取材に訪れることも多いのですが、下見の際には必ずこのアプリを使って、太陽の位置と光の入り方などを考えて、その場所が最も美しい時間帯を予想して、撮影に臨むようにしています。

風見鶏の館であれば、1年のうち、どこかの時間に、どこかの場所から、ズームレンズで狙えば、風見鶏と月が重なるショットが狙えると思います。以前、SNSで岐阜城と月の写真がバズって有名になりましたが、ここも面白い写真が撮れると思うので、ぜひ狙ってみて下さい。

最近のカメラは、ズーム機能や暗視機能など技術が進化しているので、テクノロジーを活かして、同じようなアプローチをしてみれば、新しい見せ方ができると思います。


―― 風見鶏×月のショットについては、この記事を読んだ中でトライしていただける方がいればありがたいです(笑)
今回ご案内した中で、写真映えするといえば、ウォーターフロントに2021年オープンした新スポット「átoa(アトア)」も非常に人気ですが、いかがでしたか?


「átoa(アトア)」もとても良かったです。ここは「苅藻島クリーンセンター」や「鉄人28号」と違って、極めて人工的な空間ですが、あそこまで写真映えや、空間を魅せるための演出をやりきっているのはすごいと思います。全ての場所で、訪れた人がどう見るか?どのように写真を撮るか?が徹底して考えられていて、ライティングの設計も見事でした。

それと同時に、魚や生き物の生態に配慮された環境が整備されていて、かつその生態をしっかり伝えるための展示が多くありました。生物を展示するには大前提として、その生態に適した環境が整備されていることが必須です。

しかし、それだけでは足りません。何かを伝えるためには、面白いことや美しい見せ方で、まず人を惹きつけなければなりません。

átoaの場合は、生態保護を前提とした上で、徹底した空間演出で多くの人を惹きつけて、来た人にはしっかりと海の生き物の事を伝えることができる展示になっていて、生態保護と見せ方のバランスがとても良いと感じました。


―― なるほど、そう分析を頂けると人気の理由も納得です。写真映えだけを狙うスポットもありますが、átoaは写真撮影はもちろん、空間自体を楽しむもよし、展示をじっくり鑑賞するもよし、色々な楽しみ方ができるのが魅力ですよね。
逆に、もっとこうしたら良いのにと思った場所はありますか?


SNSが普及した今、あるスポットに訪れた人が写真を撮影し、自身のSNSにアップして、それを観た他の人が、同じ景色を見るためにそのスポット訪れるという流れがあります。お客さんを呼びたいのであれば、まず、その場所を訪れた人が、良い写真を撮れるようにする仕掛けや工夫が必要だと思います。

例えば、自撮りがしやすいように、スマホの台を設置してあげるとか、顔が綺麗に見えるようにライティングを工夫する、構図に余計なものが写らないように張り紙や注意書きを撤収する、といったことです。

これは神戸だけではありませんが、せっかくの素敵な場所なのに、展示や建物の保護のために、お客様に撮影を禁止したり、過度に注意喚起をしたりすることがあります。

今やだれもがスマホを持っているので、写真撮影を規制することは困難です。

お客様も記念写真が撮りたいだけで、展示物を壊したり、他人に迷惑をかけようとしているわけではないので、目印等で撮影可能な場所を提示してあげたり、自撮り台を設ける等、写真撮影を前提にマネジメントすればよいと思います。コスプレ撮影など、長く占有する人がいる場合は、撮影可能な時間帯を設定して別料金をいただくなど、マネタイズをしても良いでしょう。


―― 確かに、旅行中はどこでも、訪れた記念に1枚は写真を残しておきたいですよね。そこで悪気が無かったのに、厳しく注意をされてしまうと、観光地に対しての印象が悪くなってしまいそうです。
あと、夜歩いている時に、夜景についても興味深いアドバイスを頂きましたよね?


夜景と自撮りの話ですね。ハーバーランドや六甲山からの夜景は、神戸ならではの景観です。でも、そんな夜景を背景に自撮りをするのは、顔が真っ暗になってしまい、なかなか難しい。

そこで、夜景の定番スポットには、自撮りしても綺麗に顔が映るように、照明を設置する。それによって、神戸の美しい夜景を背景に自撮りをする人が増え、それをSNSで観た人が同じ場所を訪れる、という好循環が生まれるのではないでしょうか。

とにかく、訪れた誰もが写真を上手く撮れる環境を整える。そうすることが、街の魅力発信や観光誘客に繋がってくると思います。


―― 確かに、SNSやWEB全体を考えると、観光局や観光施設が発信している情報量はほんの一部なので、訪れた人にうまく写真を撮影してもらって、さらに発信していただくという視点は、情報の総量を増やすという点で重要ですね。
最後に、神戸で写真を撮る魅力や可能性についてお聞かせいただけますか?


魅力については、はじめにもお伝えした”コンパクト”であることにつきると思います。海もあって山もあって、街中には中華街、異人館、ビル街もある。これほどバリエーション豊富な景色を歩いて巡ることができ、被写体に事足りないのは、写真を撮る人にとっても素晴らしく魅力的な環境であると思います。

地方に行けば、撮影スポットを巡るのに車で数十分、なんていうこともありますから。本当に神戸は写真都市として、魅力にあふれていると思います。

可能性でいえば、神戸には大学が多いですよね。九州や中国・四国、関西圏を中心に、全国から大学生が集まってきて4年ほど過ごす。こういった神戸の大学に通う学生を、神戸の魅力を伝えるアンバサダーとして育てていければ良いと思います。

学生に、写真の撮り方や加工の仕方、発信の方法などを教えて、地元の友人知人に発信してもらう。これだけでも大きなプロモーションになります。また、街の事を調べて発信をするうちに、神戸に愛着が芽生え、卒業してからも神戸で就職したり、一度東京にでても、また神戸に戻ってきてくれるようになるのではないでしょうか。


―― ありがとうございました。
東京カメラ部のInstagramアカウントでは、神戸はもちろん、日本各地で撮影された美しい写真がたくさん紹介されています。写真撮影のヒントになるのはもちろん、自分の知らない場所や、知っている土地の知らない魅力が発見できるかもしれません。ぜひ、下記のURLからチェックしてみてください。
https://www.instagram.com/tokyocameraclub/

取材・文・写真:山崎 敬永(神戸観光局 観光部)

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