2026.05.07

神戸のパンの香りを連れて、初夏の行楽地へ!

神戸のパンの香りを連れて、初夏の行楽地へ!

休日の朝、いつもより少しだけ早起き!

 

目指すは、心地よい潮風が吹く海岸線か、それとも木漏れ日が揺れる静かな公園か。

そんな一日のプロローグに欠かせないのが、かばんの中の、おいしいパンの存在です。

 

神戸には、単なる「お腹を満たすもの」以上の、その日の風景をちょっと特別にしてくれるベーカリーがたくさんあります。

焼きたての香ばしい袋を抱えて、海、山、公園へ! 心躍る休日を完成させてくれる、とっておきの3軒をご紹介します。

サワードゥの健やかな香りをまとう「RAGI」のパンで、海風にほどける休日

JR垂水駅や舞子駅からバスに揺られて約10分。

 

坂の途中に佇む小さなベーカリー「RAGI」の格子戸を開けると、そこには派手な演出とは無縁の、けれど圧倒的に実直なパンの香りが満ちています。

店を切り盛りするのは、バリ島出身のカデ・ヘディさんと、日本人の奥様。

 

店名の「RAGI」はインドネシア語で「天然酵母」を意味します。

 

店は大通り沿いに。バス停「県商前」、「星陵台3丁目」から徒歩約2分の場所

店主のカデさんがこの地に店を構えたのは2023年7月のこと。

 

「かつてお世話になったホテルのあるこの街に、食を通じて恩返しがしたい」という温かな想いが、開業の原動力でした。

 

カデさんはかつて、ホテルやレストランの厨房で和食からイタリアン、寿司、スイーツまであらゆるジャンルを修業し、薪窯でピザを焼く技術も習得。

 

その多才な経験の果てに辿り着いたのが、「家族に安心して食べさせたい」という純粋な願いを込めたパン作りでした。

 

店内はシンプル。ガラスショーケースの中にパンが並びます

最大のこだわりは、ドライイーストを一切使わず、小麦と水、塩だけで5日間かけて育てる自家製サワードゥ(サワー種)です。

 

自然界の乳酸菌と酵母の力だけでじっくり発酵させるため、パンからは鼻をくすぐる爽やかな酸味が漂います。

 

噛みしめれば、5日間という時間をかけたからこそ生まれる深みのあるな旨み、穀物本来の甘みと複雑なコクが層をなして押し寄せます。

 

開業当初はわずか3種類だったラインナップも、今では平日は16種、週末には20種ほどに。

 

「こんなパンが食べたい」という近所の方々の声に耳を傾け、一つひとつ丁寧に形にしてきました。

看板の「サワードゥブレッド」や滋味深い「田舎パン」はもちろん、北欧風の「シナモン」や、自家追熟させたバナナが香る「バナナくるみ」も、日常を彩る特別な味わいです。

 

日々の食事とともに食べてほしい「田舎全粒粉」など

また、カデさんの料理人としての腕が光る「サワードゥピザ」も絶品。

 

取材日には、地元・神戸西区の池本醤油と丹波産のネギを合わせたピザが、焼けるそばから売れていきます。

 

もっちりとした生地に、旬の野菜を合わせたピザ。

カデさんはどんなに忙しくても、訪れる一人ひとりと丁寧に対話を交わします。

 

パンの保存方法を伝え、近況を尋ねる、その距離の近さは、まさに「コミュニケーションベーカリー」と呼ぶにふさわしい温かさです。

 

店主カデさん。ホテルやレストランでの経験も持つカデさんは料理もお得意。

「RAGI」のパンを手に取ったら、少し足を伸ばして五色塚古墳まで歩いてみるのはいかがでしょう。

古墳の上から眺める明石海峡大橋の絶景たるや!

あるいは舞子公園のベンチで、海風を感じながら。

 

神戸でしか出会えない、バリ出身の職人が醸す優しくて凛としたパンを頬張っては?

 

神戸の休日を、より豊かにしてくれそうです。

 

Information

RAGI

住所 神戸市垂水区星陵台3-3-32
アクセス JR「垂水」駅よりバス、バス停「県商前」、「星陵台3丁目」で下車
営業時間 9:00~16:00 定休日 水曜・木曜
Instagram https://www.instagram.com/ragi.sourdough/

いつもの休日をとっておきに変えるパンを求めて、六甲の山裾の「Boulangerie ONO」へ。

阪急王子公園駅から線路沿いを北へ。六甲の山並みが少しずつ近くなる住宅街の一角に、その店は静かに佇んでいます。

 

「ブーランジェリー オノ」。派手な看板も装飾もない、街の風景に溶け込むような姿は、まるでそこに最初からあったかのような自然体です。

 

店は住宅街にひっそり。落ち着いて自分のパンに向き合いたいという思いから、閑静な住宅街を選んだそう。

神戸っ子には、それぞれ「自分だけのひいきのパン屋」があるものですが、灘区・篠原の住宅街に暮らす人々にとって、それはきっと「オノ」のことでしょう。

 

2017年のオープン以来、今年で9年目。激戦区でありながら、この店が放つ存在感はどこか独特です。

扉を開けると、出迎えてくれるのはアンティークの家具や柔らかなランプシェードが醸し出す、クラシカルな空気感。ガラスのショーケースには、まるでお皿に盛られたアート作品のように、端正な顔立ちのパンたちが並んでいます。

 

けれど、決して気取った場所ではありません。

 

奥の厨房からは、店主・小野寛さんがパンを焼く香ばしい匂いとともに、「いらっしゃいませ!」という快活な声が届きます。

 

アンティークの家具や調度品も素敵な店内。

小野さんとパンの出会いは、意外にも雪山にありました。

「スノーボードが大好きで、北海道や長野の山で働いていたんです。そこで初めて食べたハード系のパンに感動してしまって。粉がこんな姿に変わるなんて、まるで魔法みたいだ、と」。

 

その純粋な驚きが、彼をパンの道へと突き動かしました。

神戸の名店「フロインドリーブ」やホテルのベーカリーで研鑽を積み、さらには和食やレストランの厨房でも腕を磨いた経験が、今のオノさんの「料理としてのパン」の基礎となっています。

 

小野さんのパン作りは、極めて真摯で、かつ実験的です。

 

店の奥に鎮座する石臼で全粒粉を挽き、国内外から厳選した約10種の小麦粉を、その日のパンの表情に合わせてブレンドします。

 

看板の一つであるバゲットには、なんと5種もの粉を使い分けるというこだわりよう。

例えば、全粒粉を60%も配合した「クロワッサン」。通常ならパサつきがちな配合ですが、湯種の残生地とたっぷりのバターを合わせることで、翌日でもしっとりとおいしい、身体に優しい一品に仕上げています。

 

今なら、自家製ドレッシングでマリネした季節のフルーツと生ハムを挟んだサンドイッチが、季節の贅沢を教えてくれます。

 

また、チョコそのものを食べているような口どけの「ショコラフリュイ」や、マスカットが弾ける「ぶどう」などもショーケースに並びます。

 

春になれば、「桜黒豆チェリー」や「サラミソーセージと青じそのバトン」を携えて、近くの王子公園や都賀川沿いへ出かけてみませんか。

 

川面眺めながら頬張るパンは、きっと心まで解きほぐしてくれるはず。

ゆくゆくは店内にカフェスペースを作る構想もあるという小野さん。

 

石臼が回る音とパンの香りに包まれて、もっとゆっくり過ごせる日が、今から待ち遠しい!

 

お出かけに連れていきたい3品。桜の葉が香る生地に、黒豆の甘さとチェリーの酸味が春を告げる「桜黒豆チェリー」、黒胡椒の効いたサラミと青じその爽やかさがインパクトの「サラミソーセージと青じそのバトン」、ビールを忍ばせたピクニックにもおすすめの「本日のサンドウィッチ」は、その日の旬をぎゅっと詰め込んだ、一期一会のボリュームサンド。

Information

Boulangerie ONO

住所 神戸市灘区篠原中町6-1-15 第二大森マンション 1F
アクセス 阪急「六甲」駅より徒歩約10分
営業時間 9:30~16:00 定休日 月曜・火曜・水曜
Instagram https://www.instagram.com/boulangerie_ono/

北野坂を上る楽しみが増えたのは、「Boulangerie recolte」ができたから!

神戸・兵庫区の大開で、路地裏の小さな店から始まった「ブーランジェリー レコルト」

 

大通りへの移転を経て、2025年の夏。店主・松尾裕生さんが新たな舞台として選んだのは、異人館の街並みにほど近い北野の山本通でした。

 

お店は山本通沿い。北野坂をてくてくと上ったところにあります。

お店の扉を開けると、まず圧倒されるのがその熱量です。

 

遮るもののない広々としたオープンキッチンからは、パンが焼き上がる芳醇な香りとともに、職人たちが無駄のない動きで生地を捏ね、成形し、オーブンへと送り出す活気がダイレクトに伝わってきます。それはまるで、おいしいパンが生まれる瞬間のエネルギーを共有しているかのよう。

 

熱気を帯びたパンの数々は、焼き上がるそばから平棚へ。一つひとつのパンが放つ艶やかな光沢、ふっくらとしたフォルム、そして鼻をくすぐる香ばしい匂い……。棚を眺めているだけで、心が躍り出します。

 

オープンキッチンの活気とズラリと並ぶパンを眺めるとテンションも上がります!

カウンター席では購入したパンを食べることもOK。リベイク用のトースターもあります。

松尾さんの作るパンはどれも美しく、五感を刺激するものばかり。けれどその裏側には、緻密な「栄養の設計図」が隠されています。

 

元臨床検査技師としての経験を持ち、分子栄養学を深く学ぶ松尾さんにとって、パン作りは「食べる人の身体を整えること」でもあるのです。

 

例えば、豆乳を使ったパン。そのままでは身体に吸収されにくい栄養素も、自家製酵母でじっくり発酵させることで、より効率よく身体の力(抗酸化能力)に変えられるカタチへと整えて提供する。

 

一見、私たち客側には分からない細かな材料選択の積み重ねが、知らないうちに食べる人を元気にしていく。

 

それは、松尾さんの「おいしい」の先にある、食べる人の健やかさを思う静かな情熱から生まれるものです。

 

自家製酵母、オーガニックオリーブオイル、大麦、海洋深層水100%塩など使用した「あなたの身体を思うパン」

お店では、栄養レベルを10段階に分けた商品構成を提案。

 

「おいしい!」と通い続けるうちに、自然と一段ずつ、自分の身体を慈しむ「栄養のステップ」を上っていけるような仕組み。

 

それは、松尾さんが願う、新しい時代のパン屋さんの在り方です。

 

そして今、北野という坂の多い街で松尾さんが提唱しているのが、「運動と食」の楽しい連携。

 

「坂の町・北野を運動がてら楽しんでほしい」、 そんな想いから、お店では「アクティビティ割引」を実施。

 

登山やウォーキング後に来店したお客さまを、スタッフ全員が「すごい! 頑張りましたね」という称賛の気持ちで迎えます。

 

新神戸駅のトレイルステーションや北野のレンタルショップと連携し、神戸の豊かな自然を歩く文化を、食事の面からプロデュース。

 

さらに「異人館の立ち並び、ガス灯が灯るステキな山本通を、焼きたてのパンとスペシャルティコーヒーを片手に歩いてほしいんです」と松尾さん。そのために開発した、「片手でスマートに持てる特製キャリーも用意しました」。

 

特製キャリーにコーヒーとチョコクロワッサンを入れて。片手で持てるのがうれしい。

 「おいしい」という喜びが、いつの間にか「健やかさ」へと繋がっていく。

 

松尾さんが北野に灯した明かりは、単なるパン屋の域を超え、訪れる人の人生をほんのり明るく照らす、健やかな道標のよう。

 

北野の町をてくてくと散策しながら、楽しんでみませんか。

ネギパン、クリームパン、大人気の大山バターのクロワッサン、有機トマトと無添加ソーセージ、タイ風サラダをサンドしたラープドッグ

厨房でパンづくりに勤しむ松尾裕生シェフ。

Information

Boulangerie recolte

住所 神戸市中央区山本通2丁目14-18
アクセス 各線「三ノ宮」「三宮」「神戸三宮」駅より徒歩約15分
営業時間 9:30~17:00 定休日 月曜・火曜
Instagram https://www.instagram.com/recolte_matsuo/

焼きたてのパンがあれば、そこが最高の行楽地!

実直な「RAGI」、季節の気配を運ぶ「Boulangerie ONO」、心と体を満たす「Boulangerie recolte」。

どの店のパンも、きっといつもの休日を特別なものに。

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