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2021.10.19

【神戸で海外旅行】 アジア満喫 神戸旅へ

【神戸で海外旅行】 アジア満喫 神戸旅へ

“アジア”。

それは一言で表わせない奥深さがあります。中国や韓国のように日本と近しいアジアから熱帯雨林気候の東南アジア、パキスタン、スリランカまで…。

それぞれに信じる神がいて、習慣も言葉も食生活も、本当に多種多様。そんなアジアの多民族が入り混じる神戸には未知なる魅力で溢れています。今回は、神戸で出会える個性豊かなアジアングルメをご紹介。
珠玉の美味を求め、いざ神戸旅へ!

平塚小夕里
女性誌、カルチャー誌、ウェブ媒体を中心に執筆、取材コーディネイトを行う。得意分野は人物インタビューに加え、日本の神社旅や茶道をはじめとする伝統文化など。ライフワークは自然観察をしながら世界をめぐること。アラスカ、アリゾナなど訪れた国は数多い。

杏杏 諏訪山工房

神戸の中心地からほど近い、六甲山系山麓の高台と自然林から成る“諏訪山公園”。その麓に、地元の人々が朝粥を楽しむ中華粥店「杏杏 諏訪山工房」があるとの噂をキャッチ。

赤と白の2色で構成されたアイコニックなロゴは、創業者自らデザイン

午前9時の開店とともに、カウンター席に腰掛け、定番の朝粥セットを堪能。鶏出汁のしっかり効いたお粥と食後にはたまご饅も。心身に優しく染み渡る美味しさに、癒されます。

朝粥セット ジャスミン茶とともに

たまご饅の優しい甘さにファン続出。手土産にもできます

この店の本店は県庁前の同名店。そこは、華僑2世の女性が日本人夫とともに、幼い頃から親しんだ中華粥の美味を神戸で広げたいとの熱意から開店し、25年目を迎える人気店なんです。その創業一家の長男、遠藤弘基さんが切り盛りするのがこちら、ということで味はお墨付きでした。

“杏杏の朝粥を食べてから、諏訪山へトレッキング”というのが地元の人々の定番コース。フランスの観測隊が金星観測をしたことから名付けられた広場“金星台”が中腹にあり、眼下に神戸の絶景も望めます。その広場は、太極拳に勤しむ中国人グループも集うなど、市民の憩いの場として愛されるスポットにもなっているそう。

広場“金星台”

神戸の絶景

また、店主の遠藤さんはソムリエ・酒ディプロマ取得者。金星台をさらに頂きへ向かえば夜景で有名なヴィーナスブリッジもあり、夜景を堪能した帰り道にも、神戸産ワインや灘の銘酒で一献、なんて楽しみも待っていますよ。アテになりそうなメニューも充実し、もちろんシメには中華粥をどうぞ。

焼売に神戸産の葡萄、シャルドネ種100%で醸された白ワインをペアリング

さて、店を後にしたならば、山の名の由来にもなる諏訪神社にも参拝をしたい。広場とは方向の違うルートでさらに上へと登れば現れる神様。撫でることでご神徳を授かると伝わる玉“なで稲荷”に触れ、旅の無事をお祈りして。

諏訪神社境内には、中国語による古い看板がずらり

本殿から少し下ったところに鎮座するお稲荷様。神前には“なで稲荷”というありがたい玉が

INFORMATION 杏杏 諏訪山工房
住所 神戸市中央区諏訪山町1-16
TEL 078-252-1107
定休日 月曜日(祝日の場合は翌日)
公式HP http://www.xingxing.jp
※営業時間はHPで確認を

Ali’s Halal Kitchen (アリーズハラルキッチン)

日本初のイスラム寺院「神戸ムスリムモスク」がインド、タタール、トルコ系の人々の寄進により、1935年に建造。以来、創建当時の美しい姿のままで残されているのも、神戸の見どころの一つなんです。

画像名(縦長)

神戸ムスリムモスク

こうして神戸にはイスラム信仰者も数多く暮らすので、秀逸なハラル(ムスリムの戒律に合わせた食)レストランが集まっているのも特徴。今回は、世界3大炊き込みご飯との一つとして知られる絶品“ビリヤニ”を求め、パキスタン出身のイリヤス・アリさんが営む「アリズハラルキッチン」へと向かいましょう。

モスク前のストリートを東へ10分ほど。パキスタンの美味、本場のビリヤニやトマトとフレッシュ玉ねぎをベースとするパキスタンカレーなどを提供する、ハラルレストランが佇みます。ビリヤニとはカレーに半茹でのお米を入れて作られる手間暇のかかったハレの日の料理。

ランチメニュー ベジタブルビリヤニ。辛さはお好みで調整可能

ベジタブルビリヤニのランチセットに伴う、サモサ。エキゾチックな辛さが魅力のオリジナルソースで

丁寧に煮込まれた絶品、エビカレー。粉と水のみでシンプルに仕上げたローティパラタと共に

“ジュマー”と呼ばれる集団礼拝日である多くムスリムが集まる金曜日には、おかわり自由な特別ランチが用意され、お祈りの後に立ち寄ったであろう、ヒジャーブ(イスラム教独自の女性が顔を覆うスカーフ)をまとったイスラム女性たちが食事をする光景も見られます。

店内には遠いパキスタンを彷彿させる、ある旋律が。アリさんにその旋律について尋ねれば「コーラン(イスラム教の聖典)」であるとのこと。重ねてイスラム教とは?を聞けば粛々と「万物の創造主により創られた教え」と書かれた書をプレゼントしてくれました。

モスク前にはハラル食品店「キタノグロッサリー」もあり、ハラルを始めインドネシアなどのベジタリアン食材などが所狭しと陳列。併せて訪れれば、さらに異国情緒を満喫できそうです。

INFORMATION Ali’s Halal Kitchen
住所 神戸市中央区中山手通1-20-14
TEL 078-891-3322
定休日 不定休
※営業時間は電話で問い合わせを

神戸アジアン食堂バル SALA

日本三大中華街、南京町のアジア情緒漂う路地に、可愛いランタンがあしらわれた鮮やかな水色が印象的な食堂が佇みます。全国放送のテレビ番組でも紹介された話題店で、国籍の違うシェフが日替わりで調理を担当するのでタイ、台湾など様々なアジアの家庭料理が味わえるという希有な趣向の「神戸アジアン食堂バル サラ」。

国籍、性別、子供も妊婦さんなど人それぞれの状況に関係なく、自分も含めすべての価値を理解し、認め合える社会に、とのコンセプトが基盤にあるそう。そんな店では提供される料理も働く人も国籍は様々。環境に左右されず力を発揮できる社会とは、誰もが願うシンプルな望みですね。

タイ料理 カオマンガイWコンポ(茹で&ラープ)

タイ料理 カオソーイ

たくさんの人種が暮らす神戸から発信される、“希望”がたっぷり詰まった店の料理は舌の肥えたグルメ層からも高評価。SNSでインフォメーションされるシェフカレンダーをチェックしながら、好みの国の料理を見つけて訪れてみたい。神戸が叶えたピースフルなアジアングルメとの出会いは、旅の喜びをいっそう深めてくれそうです。

INFORMATION 神戸アジアン食堂バルSALA
住所 神戸市中央区元町通2-3-16食堂館1階
TEL 078-599-9624
定休日 不定休
公式HP https://kobe-sala.asia
※営業時間はHPで確認を

カラピンチャ

インド洋に浮かぶ小さな島国スリランカ。その名を聞いてスパイスやセイロンティー、アーユルヴェーダを思い浮かべる人も多いのでは?かつて仏教王朝として栄え、世界遺産に登録された仏教遺跡は8箇所も。そして“光り輝く島”という意味を持つこの小さな島を、イギリス人は“インド洋の真珠“と呼んだとか。それほどに、原初の地球の瑞々しい姿を残した自然豊かな美しい国なんです。

そんなスリランカに魅了された店主、濱田祐介さんが本場の味を伝えたい!と一念発起し、開店したのがスリランカ料理店「カラピンチャ」。

店主の濱田祐介さん

温暖な気候と海に恵まれた島だから、魚介や野菜など食材もとても豊かで、主食となるお米に合うおかずの種類も豊富。そんな数あるスリランカ料理の中から、代表的な食事様式“ライス&カリー”を、週替わりの内容で提供してくれます。そして、スリランカはテイクアウト文化も根付く国。カラピンチャでも「パーセル」と呼ばれるスリランカ伝統の包み弁当を中心とするテイクアウトメニューを充実させています。さらには、スリランカの一般的な調理法付きのスパイスセットや直輸入スパイスも販売されているので、旅のお土産にも喜ばれそう。

ライス&カリー

米粉とココナッツミルクの発酵生地を焼き上げた軽食「アーッパ」。玉ねぎの甘辛炒め「シーニサンボーラ」を添えていただくそう

スパイス各種

王子公園駅から徒歩1分という好立地で、市民に親しまれる王子動物園もすぐそばに。どこからともなく動物たちの気配も感じられ、野生動物の宝庫、スリランカを思い出させてくれるかのよう。
公用語の一つシンハラ語で“カレーリーフ”の意味を持つ「カラピンチャ」。店主が“美味しい”と感銘を受けた、かの地直伝の調理法による、ナチュラルスパイスが効いたココナッツミルクベースのスリランカカレー。これは、必食です!

INFORMATION カラピンチャ
住所 神戸市灘区王子町1-2-13
TEL 078-805-3039
定休日 月・火曜日(他休業日はSNSに記載)
公式HP https://karapincha.jp
※営業時間はHPで確認を

香港甜品店 甜蜜蜜(ティムマッマッ)

楽しすぎて、休む間もなく歩き続けてしまった…。そんな時は「香港甜品店 甜蜜蜜」の薬膳スゥイーツはいかが?ここではなんと、香港の街角で気さくに提供される亀苓膏(亀ゼリー)がいただけるんです。

亀苓膏(亀ゼリー)

亀苓膏とは、亀の甲羅の裏側にあるコラーゲンなどを仙草や天草など漢方薬で固めたもので、デトックス効果があり、身体の調子を整えてくれる万能薬として中国や香港で長きにわたり重用されてきた妙薬。同店のものはレモン果汁が絞られ、爽やかな味わいに。その他、牛乳を一滴も使用しない杏仁のみを使用した本物の杏仁豆腐も自慢の逸品だそう。

杏仁豆腐

食養生術をプラスした身体に優しいランチメニューも大人気。たっぷりの干しエビと貝柱でとった出汁でとろとろに煮込んだ香港美肌粥セットやキノコとニラのあえ麺セットなど。特製大根餅と薬膳のお惣菜、中国茶も付いたフーディ垂涎のメニューばかり!

キノコとニラのあえ麺セット

ティータイムにはオリジナルブレンドの花茶や希少なオーガニック茶などを提供。ガラス器で淹れるお茶はどれも美しく、まさに眼福。クラシック映画に登場する香港の上流社会に迷い込んだような、ダウンライトで演出されたインテリアも雰囲気抜群。旅の合間に心身のリセットができる、おすすめの一軒です。

効能は冷え性、美肌、リラックス。ジャスミンの花、ピンクローズ、金木犀による3種の花がブレンドされた「三花茶」

アジアテイストのインテリアが雰囲気を醸す店内

INFORMATION 香港甜品店 甜蜜蜜
住所 神戸市中央区三ノ宮町3-1-16 三星ビル地下
TEL 078-322-3530
定休日 不定休
公式HP http://tim-ma-ma.com
Instagram https://www.instagram.com/tim.motomachi/?hl=ja
※営業時間はHPやSNSで確認を

ロイエット

アジア料理店が軒を連ねた通学路を通り、小学校に通ったと話す神戸の友人。曰く、アジア料理とは週末になれば家族と食べに行く思い出の味であり、日常的に親しんできたものと言います。

そんな彼女がこよなく愛するのが、タイ自慢のシーフード料理“プーパッポン”。簡単にいえば蟹の卵とじで、蟹による出汁とふわふわの卵が絡む料理に魅了されること間違いなし、なんだとか。なんとしても食したい一心で探し求めたのが、タイの女性シェフが腕をふるうタイ料理店「ロイエット」。

三宮の北野坂に面した「ロイエット」のエントランス

タイ音楽が流れる店内にはタイの仏像や偉人を模したイラストなどが配され、混沌とした雰囲気ながらどこか優しく見守ってくれるよう

お得なランチメニューもおすすめだけど、本場仕込みのアラカルトが楽しみたいから、いざディナーへ。“プーパッポン”だけでなく“シーフードパッポン”などバリエーションもあり、ほか、魚介のすり身をスイートチリソースでいただく“トートマンプラー”やカエルの炒め物“ゴップパットペット”、辛めだけど美味しいパパイヤソーメン“ソムタムスワー”など、ずらりと並ぶ本場のタイ料理リストに目移りしてしまいそう。どの料理もタイビールとの相性良好です!

プーパッポンとシーフードパッポンがメニューに並びます。写真はシーフードパッポン

タイ風春巻き ハーフサイズ スイートチリソースを添えて

タイ米麺の海老焼きそば、パッタイ。豚肉と炒めたパッシーユーも人気を集めます

微笑みの国とはよく言ったもので、タイ人スタッフの大らかな接客にも癒やされます。片言の日本語だって、言葉を超えた温もりは十分に伝わるもの。本場タイへの憧れが益々募ります。

INFORMATION ロイエット
住所 神戸市中央区加納町4-7-3
TEL 078-321-5108
定休日 火曜日
公式HP http://roiet.web.fc2.com/index.html
※営業時間はHPで確認を

香港式飲茶点心専門店 施家菜 點心坊(シーカサイ テンシンボウ)

1966年創業の伝説の広東料理店「群愛飲店」創業者を父に持つ施蓮宗(Shi Lian Zong)さんが、2019年にオープンさせた本格的な香港式飲茶点心専門店は、アジア旅に欠かせない名店です。

1995年阪神・淡路大震災を体験した施さん。“神戸の街の復興にはまず豊かな食から“と思い立ち、香港より焼物、点心、厨房各部門のスペシャリストを迎えて本場の味を再現したい、そんな思い入れもこだわりもたっぷりな「老香港酒家(オールドホンコンレストラン)」を北野に開店。この店が、瞬く間に話題を呼び、舌の肥えた神戸の人々を魅了します。

フカヒレ三昧コースの中の一品

ディナーコースから白味魚の中華風サラダ

旬菜をふんだんに使用した広東料理中心のチャイニーズレストラン「施家菜(シーカサイ)」として、2013年中山手通に移転。そして2019年満を持して、本格的な香港飲茶の美味を伝える「點心坊」をトアロードにオープンさせたのです。こうして、本場のスタイルをそのまま用いた、好みの皿を自由に選べる“飲茶ワゴン”のサービスからガラス越しに見られる点心師の真剣な仕事ぶりまで、活気溢れる店内には美味しい料理とゲストの笑顔で満ち溢れています。まさに“豊かな食”が復興の一助となったに違いありません。

味はもちろん目も楽しませてくれる可愛い点心も大人気。大皿からサーブされるチャイニーズディナーを紹興酒とともにゆっくりと楽しめば、最高の夜が約束されます。

ワゴンサービスで供される可愛い点心

INFORMATION 香港式飲茶点心専門店 施家菜 點心坊
住所 神戸市中央区下山手通3-11-17 四興ビル1階
TEL 078-381-8137
定休日 水曜日
※営業時間はHPで確認を

海と山に挟まれた小さな地域に、こんなにアジア文化が凝縮されている街はあるでしょうか?
三宮の繁華街で、夜の開店準備に勤しむお兄さんの横を、サリーをまとったインド人女性が闊歩する光景は、旅人を驚かせもします。

ある“生粋の神戸人”であることを、誇らしげに語る初老のタクシードライバーと出会いました。熱く神戸をガイドする彼にこう問いかけました。

“神戸の魅力はなんですか?”

「そりゃあ、美しさでしょう。多国籍な人種が集まっているから、アイデンティティも暦もそれぞれに違うのよ。例えば、南京町の春節のように、各国お正月も違うよね。それが“普通”。すれ違う人が異国の民族衣装を着ていても、そんなの幼い頃からの当たり前やから全く気にならないしね。それらを総じて、神戸の美しさなんやと思う」。


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